急にしもやけ(シモヤケ、凍瘡)になった 高齢の女性

昨年末の冬の入りは、なんとなく暖冬でしたが、ちゃんと帳尻を合わせるように年明けから寒くなりました。リスクとは悪いことが起きる確率ではなく、良いことと悪いことの幅を示しているので、悪いことがあるときっと良いこともあります(いつ良いことが起きるかわかりませんが)。逆もありです。

今回は、今までなんともなかったのに、一昨年から、去年から、今年から、寒くなると手の指に痛痒い丸い赤いできものができるようになった。シモヤケでしょうか?という患者さんが時々います。60歳以上の女性・・・・が多い。

シモヤケは普通の病気ではありません(個人的な意見です)。シェーグレン症候群などの膠原病が隠れている可能性があります。シェーグレン症候群は”抗核抗体”が陰性でも否定できません。抗SS-A抗体の有無を調べないとわかりません。

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シモヤケと縦横縦横の亀甲文字

今月の札幌は晴れる日が多く(だから寒いのですが)、気持ちがいいです。近くのスキー場です。

早朝の駅も好きですが、空港もいい感じです。羽田には雪がありません。寒いところに住んでいると幸せの閾値が下がります(幸せ度が高まるということです)。

 

シモヤケは凍瘡(とうそう)といいます。冬山登山で手足が寒さで皮膚が痛んでしまうのは”凍傷:とうしょう”です。まぎらわしいですが”凍瘡しもやけ”と”凍傷”は別物です。

シモヤケは私が子供のころはありふれた病気でした(寒い地方で育ちましたので暖かいところではあてはまらないかもしれませんが)。でも、60歳から70歳を過ぎてから急にシモヤケが出るようになった、と受診される方がいます。本当のしもやけであったり、実はもともと血行が悪く、寒くなったために症状が出る(顕在化:けんざいか)ようになった方もいます。

私はまず、患者さんの爪を見ます。爪の甘皮(爪上皮)が1-2㎜以上に伸びで、そこに点々と黒や赤の点(出血)があれば何らかの血行障害があります。強皮症やシェーグレン症候群が多いと思います。血液検査で膠原病のスクリーニングをします。必ず抗核抗体とSS-A抗体を調べます。

自分の体をバイキンから守るために働いている免疫がまちがって自分を攻撃してしまうことがあります。自分に向かうミサイルを自己抗体と呼びます。ミサイルは攻撃目標ごとに名前がついています。細胞は細胞質の中心に核があります。核を標的とするミサイルを”抗核抗体:核に抗する抗体”と呼びます。抗核抗体の中には核の成分に対する多くの種類の抗体が存在します。多くの抗体は核に関連する成分を攻撃目標とするため、”まずは”抗核抗体だけ調べて陰性なら、さらに詳しい検査は不要になります。

しかし、細胞質を標的とするミサイルの存在は”抗核抗体”ではスクリーニングできません。シェーグレン症候群(涙、唾液などの分泌腺が攻撃されます)で攻撃されるミサイルの標的(SS-A,SS-B)は細胞質にあるからです。他に皮膚筋炎や多発性筋炎の抗体の攻撃目標も細胞質にあります。膠原病のスクリーニングに抗核抗体だけ調べても不十分です。

膠原病を疑っても、自己抗体が陰性の場合があります。「自己抗体が陰性だからあなたは膠原病じゃない」と言われ、でも手が冷たいと言って受診する患者さんがいます。自己抗体が陽性でも症状が軽ければ治療は不要ですが、自己抗体が陰性でも症状が強ければ治療します。抗原病は診断が難しいので、厚労省から出ている”診断基準”に沿って診断する研修医がいます。「昨日まで3項目しか満たしませんでしたが、今日4項目目の検査が陽性になりましたので、今日SLEになりました」・・・。

診断基準は確かにたくさんの患者さんの因子を統計学的に解析し、その疾患を他の疾患から区別できる項目を選び出したものです。しかし、それは治療や予後(病気の重症度の将来的な悪化予測)因子の検索(研究)や公的保証を決める”基準”として用いるべきで、治療などの対応は症状ごとに考えたほうがよいのです(個人的見解です。為念)。

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