爪水虫(爪白癬)の治療 2019年春

爪の水虫(爪白癬、つめはくせん)はなかなか治しにくいタイプの水虫です。

長い間、爪白癬はイトラコナゾールやテルビナフィンの内服で治療してきましたが、この数年の間にしばらくぶりに新しい薬が出てきました。1つは塗り薬(外用薬)のトリアゾール系薬エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン)とルリコナゾールの高濃度製剤(商品名:ルコナック)です。もう一つは飲み薬(内服薬)のホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物(商品名:ネイリン)です。関連の講演会を何回か聞く機会があったので2019年3月31日時点の状況をまとめてみました。何回かの講演内容を参考にしていますが、この記事に間違いがあれば私に責任があります。

  • 爪水虫(爪白癬)の治療効果の出方

いったん黄色く濁ってしまった部分は薬をつけても、飲んでもよくなりません(白癬が体の他の部分や他人にうつることは予防できます)。爪白癬に対する薬での治療の狙いは、新しく生まれる爪に薬が残留することで、正常な爪に菌が入り込めないようにすることです。菌が(薬を含んだ)透明な爪に入れなければ、徐々に前方に押し出されてついには落ちてしまいます。しかし、爪の伸びは1か月に1-3㎜程度と遅く(足の爪より手の爪の方が早く伸び年齢や指ごとにも伸びる速さが異なります)、爪ができるところ(爪母)は表に出ている爪の後ろの皮膚の下にあるので、治療を開始しても透明な爪が根元に顔を出すまで時間がかかります。また、爪全体が正常な爪になるまではさらに長い時間がかかります。

・爪白癬の外用治療(塗り薬での治療)のポイント

爪水虫に対する新薬で、最も効果が高いとされるトリアゾール系薬エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン)とルリコナゾールの高濃度製剤(商品名:ルコナック)について説明します(この2つは爪専用です。爪以外の白癬には保険が通っていません)。なお、皮膚の水虫にもぬれる従来からある“水虫薬”は下の1)のような場合を除いて爪水虫を治す効果は期待できません。

1)爪表面が白くカサカサしていて削ると透明な爪が下にある・・・といった表面型の爪水虫に最も効果が出ます(内服より外用が勝る)。また、くさび状に黄(白)色くなっていたり、爪の端のみに線が入るように黄色くなっている場合は、その部分を爪切りなどで削ってから薬を付けると効いてくる場合があります・・・と思っていましたが、小樽皮膚科の前田先生は切り取らない方がよいとおっしゃていました。

2)爪が厚くなっていたり、爪を横切るように広く黄色くなっている場合や爪の根元が全体に黄色い場合、爪全体が黄色い場合は外用剤の効きは非常に悪くなります。内服治療が基本です。

3)上の1で述べたとおり、正常部分も含めて爪全体に塗る必要があります。

4)爪周囲の皮膚に塗るとかぶれることがあります。なるべく爪の周りの皮膚に薬がつかないよう塗ってください。

5)お薬の値段 クレナフィン1本(3.56g:5,900.70 円・・・自己負担3割で約2000円)、ルコナック1本(3.5g:3,492.30円・・・自己負担3割で約1000円)

 

  • 爪白癬の飲み薬(内服)での治療

部位に関係なく水虫治療薬として保険が通っている飲み薬は、昔からあるテルビナフィンとイトラコナゾールです。そして昨年、“爪専用”のホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物(商品名 ネイリン・・・ネイルにイン(爪に入る)?でしょうか?)が発売されました。

 

  • イトラコナゾール 商品名イトリゾール(先発品:1993年発売)で50㎎1カプセル315.6円、イトラコナゾール(後発品)は130.5円。後発品で自己負担3割でパルス療法を3回やると、1日400㎎x7日間を月1で3回=40円x8x7x3=薬代の総額(3割負担で)6700円+再診料と血液検査代。爪以外の部位の白癬にも保険が通っています。

*一緒に飲んではいけない、あるいは注意したほうがよい薬がたくさんあって、持病のある方には使いにくいことがあります。爪白癬と紛らわしい爪カンジダには高い効果をもちますが、爪に良くつく白癬菌については次の2のテルビナフィンの方が効きやすいという報告があります(猫からうつる白癬などはイトラコナゾールの方が効きます)。

  • テルビナフィン 先発品商品名ラミシール(1997年発売) 125㎎1日1錠で167.7円、後発品は61円。後発品を3割負担で3か月飲んで1800円。半年から1年ぐらいは飲むことが多いので、3割負担で1年飲んで総額7200円+再診料+血液他検査代。他の薬と比べて安いのが特徴です。1点、このお薬は白癬に対する効果は高いですが、爪白癬と区別しにくい爪カンジダに対する効果は低いと言われています。爪以外の部位の白癬にも保険が通っています。

 

  • ネイリン(商品名) 1日1カプセル内服(1カプセルで804.60 円:自己負担3割で1日250円、12週間飲んで治療終了です。イトリゾールとテルビナフィンの良いところを持つ薬剤です。12週間飲んで薬代の自己負担(3割で)総額21000円+初再診料+血液検査代)。保険は爪の白癬限定です。昨年7月発売です。(この薬に限らず)発売から1年たたない新薬の処方は2週間までに限定されていますので、今のところは2週ごとに通院が必要です。

 

どの薬を使うか選択が難しいですが、持病、簡便さ、通院の状況、定期的に血液検査ができるか、お薬代、水虫が感染している爪の状態、によって患者さんと相談して決めることになります。水虫の治療はここ1-2年で大きく変わってきていると言えます。お近くの皮膚科専門医に相談してみてください。

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