感染症の世界史 石弘之著

新型コロナウイルス、coronavirus  disease (COVID-19:コビッド ナインティーン)の感染が拡大しています。”感染症の世界史 石 弘之著”は先日本屋さんで偶然みかけて購入しました。中身をチラ見したときに、(私の大好きな)ホモサピエンスの移動と感染症の関連について記述されていたからです。帯には今回のコロナウイルスの発生に関わる文言が記載されていて、便乗的な感じもしますが、本はとにかく手に取ってもらわないと読んでもらえないので仕方ないですね。平易でわかりやすい記述で一般の方にもお勧めできる内容だと思います。

 

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いただいた一輪挿しにお花を生けました。買ったときにはなかった小さい白い花がポツポツと増えてきました。なんとなく2度楽しめて得した感じ。

 

本書を読むと、今回の新型コロナウイルスで起きているような問題は、過去何度も繰り返されてきたことがわかります。歴史的に感染症によるパンデミック(世界的流行)は後で振り返れば、対応に関してさまざまな問題が潜んでいたことが判明します。ただ、事態が急速に悪化している真っただ中にいるときは先がよく見えません(感染症に限りませんが)。本書を読んでいて今回の新型コロナウイルス感染やリスク管理について特に思った個人的な印象を書き留めておきます。

1)これまでの対策を振り返って対応に関する問題点をあぶりだすことは大切です。でもその目的は、(火中にいる今現在は)今後(目先)の対策に利用するための資料として使うためです。当事者を非難している暇はありません。「これからどうする」ということを皆で考え、前を向くことが大切だと思います。

2)問題が起きたときに、対策(大きければ大きいほど市民生活は制限され、経済的な問題も大きくなります)を決断をしなくてはならない者(今回は政治家や感染症対策に関わる公的機関)の負担は大きいと思います。先が見えない中で判断を迫られた事柄を描いた映画はたくさんあります(ずれているかもしれませんが、例えばジョーズ。海水浴場に巨大ザメが現れたときの遊泳禁止の決断・・・観客はみんな、早く遊泳禁止にすればいいのに、と思ったはずです。自分には利害関係がないから、ある程度冷静?な判断ができる?)。

命にかかわることであれば、少し(これが難しいのですが)大きめの対応が望ましいと個人的には思います(初診で具合の悪い患者さんをみたときの医師の対応がまさにそれです)。そして、問題が過ぎ去った後で、その対応が大きすぎたかもしれないと評価された場合(予想よりも大事なく事件が過ぎ去った場合)に、過剰な対応を決断した責任者を強く責めてはいけないと思います。もし責めすぎれば、次に起きる事件に対して過小な対応がなされる危険性が出てくるかもしれないからです(地震や津波速報なども同じだと思います)。2014年のエボラ出血熱の感染爆発のとき、(国境なき医師団の警告にも関わらず)対策が後手にまわったWHO(世界保健機構)が批判されたときのことが本書に出てきます。もちろん官僚主義的な組織の問題もあったようですが、2009年の新型インフルエンザの流行に関しての失敗が2014年のエボラ感染時の過小評価に影響を与えた可能性を著者は指摘しています(WHOは警戒レベルを最高の6に設定したが、結局弱毒株で問題にならなかった。日本も2500万回分のワクチンを320億円で輸入したが、1600万回分は破棄、800万回分は90億円の違約金を払ってキャンセル)。

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