縄文人が持ってきたもの

弥生人の一部にベーチェット病になりやすい一群(なりやすいといっても、ベーチェット病になるのは非常に稀です)がいた、というのが前回の記事でした。
今回は、また、眼と皮膚に病気を起こす「原田病」(Vogt – 小柳 – 原田病)についてです。
原田病は、メラニン色素を持った細胞(髄膜、ぶどう膜、皮膚、頭髪、内耳など)を自分の免疫が攻撃してしまう病気です(眼はカメラですから、暗幕(メラニン)が張り巡らされています)。ぶどう膜炎や皮膚の白斑(はくはん:しろなまず)が代表的な症状です。
この病気は、東南アジアとアメリカ先住民に多いのです。
出展は同じ、大野先生の論文から。


原田病を発生する民族は、
東南アジアのモンゴロイド
ネイティブアメリカン
イヌイット
南米の国々(ただし、スペイン、ポルトガル系にはいない)
アボリジニ(オーストラリア)
そして、ハワイ、ブラジルの日系人
イタリアのサルディーニア島出身者
サウジアラビア
原田病になる患者の95%は同一の白血球表面のマーカー(HLAーDR4)を持っています。上記の民族は、また、このマーカーを持っています。
ヨーロッパで、なぜ、サルディアーニ島出身者にしか原田病はないのか?
サルディアーニ島出身者は古代都市国家を築いた古代フェニキア人の末裔だそうです。そして、サウジアラビアにも古代フェニキア人の血を引いた人たちがいるのではないかといわれています。・・・・なんか壮大な話になってきました。
アフリカを出たホモサピエンスは、ヨーロッパ、中東、東南アジアを経て、一部は南へ、一部はベーリング海峡を越えてアメリカ大陸へ渡りました。グレートジャーニーといいます。原田病になりやすい素因をもった人たちも、この旅で世界に広がったのでしょう。
さて、日本へは・・・・・
原田病は沖縄と北海道のアイヌ民族に多いそうです。
マーカー(HLA-DR4)を持つ人は、2万年前に中国南西部から台湾、沖縄を経て日本に渡ってきた集団であることがわかっています。つまり、縄文人です。そして、このマーカーは原田病になりやすい人がもつものです。
縄文人の住む日本に、紀元前後より大量(縄文人の10倍)の弥生人が朝鮮半島から入り込み、先住民を端に追いやったのです。
縄文人と一緒に日本にやってきたもの、
アイヌ犬、秋田犬
(外国で飼っている秋田犬にも、原田病が出るそうです)
(これらの犬は、バングラデッシュ犬、チンなどの東南アジアの犬と相関があるそうです)
グレートジャーニー・・・好きです。出発点である、ケニアの大地溝帯を10数年前に見に行きました。そして、好きな本は
1万年の旅路」・・・ネイティブアメリカンが口承で残した1万年にわたるモンゴロイドの旅の記録です。読んでいるとどきどきします。お勧めです。
1mannennotabiji

「縄文人が持ってきたもの」への1件のフィードバック

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    azmです。
    病気のトレースでも人類の起源がわかるんですね。興味深いです。
    1万年の旅路、面白そうです。本屋で探してみようかな。

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