食べ物のアレルギー どういう検査が必要か?IgE

食べ物によるアレルギーで困っている患者さんは結構います。今回は病院で行う検査と、検査が陽性になったときに、それをどのように考えるか、ということについてまとめてみます。
食物アレルギー診療の手引き2008より

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もちろん、いきなり検査はしません。患者さんからいろいろな状況を聞いてからです。特にアトピー性皮膚炎については、まずステロイドなどの塗り薬や保湿などのスキンケアをきちんと行っていて、さらに症状を良くするために原因となっている可能性のある食物を探すという検査を追加することになります。後でも述べますが、2-3歳以下の小さいお子さんに特に意味をもつ検査だと思います。
IgE(アイジーイー):免疫(めんえき)グロブリンの中のEというタイプ(血液を採って調べる検査です)
免疫グロブリンというのは抗体として働きます。抗体は外から入ってくる敵に対して迎え撃つ防衛のためのミサイルのようなものです(わかりやすく説明するため、正確性に問題のある記述になってます)。風疹やはしかなどのウイルスに初めてかかったとき(あるいは予防接種をしたとき)には、まずMというタイプ(IgM)が体にでき、次にGというタイプ(IgG)が立ち上がります。特にGはウイルスに対する記憶のようなものですので、次に風疹やはしかのウイルスが入ってきても感染は起きないのです。
IgEは虫刺されや寄生虫感染のときに働く抗体です。でも、現在はアレルギーを起こす悪者としてのイメージのほうが強いようです。原因物質(抗原:こうげん)A+原因物質Aに対するIgE+肥満細胞という結合がおこると、肥満細胞からヒスタミンという物質がワーと出て、これが血管に働いて、血管の中から水分がドーと出ます。蚊に刺されたときにプクッと腫れるアレです。じんましん、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蜂などによるアナフィラキシーショックもそうです。
さて、IgEの検査には、IgEの総量を調べる検査(非特異的IgEあるいは単にIgE、RISTなどとも呼んでます)と、原因物質(抗原:こうげん)ひとつづつに対応したIgE(特異的IgE、RAST)を調べる検査があります。
総量を調べる検査代は1000円+検査判断料が1440円(免疫関連の検査をいくつ行っても1440円で、月1回のみ)です。IgEが多いか少ないかしかわかりません。何が原因かを調べるには特異的IgEを調べます。検査代は1種類1100円、1回あたり14300円が限度(13個までということですね)+検査判断料1440円です。3割負担の方は窓口で0.3をかけた額を払うことになります。フルに13種類調べたときの窓口での支払いは、検査代のみで5000円強になるということですね。個々に種類は選べませんが、陽性になりやすい抗原をセットにして28種類で14300円という検査もあります。
特異的IgE検査で陽性の食べ物が!!・・・検査が陽性なら注意が必要なのか?
IgEの検査結果は0.35以上で疑い、0.7以上で陽性としますが、100を超える値が出る方もいます。食物アレルギー診療の手引き2008 http://www.allergy.go.jp/allergy/guideline/05/03.html より検査結果をどのように考えるかについての注意事項を以下で。
1.検査が陽性だからといって、その食品を食べたら必ず症状が出るとは限らない。
2.でも、鶏卵、牛乳、魚、ピーナッツで陽性になった場合は、原因となる食物を実際に食べてもらって症状が出るか(食物負荷試験:しょくもつふかしけん)調べると、症状が出ることが他の食品より多い。つまり特異IgE検査の値が症状と関連している可能性が高い。
3.鶏卵と牛乳は、年齢が低いほど特異IgE検査の値と実際の症状の間の関連性が高くなる。HP上のグラフから目分量で読み取った大まかな値(あまり正確ではありません)では、
鶏卵 
IgE値が0.3のとき、(かなり低い値です)
1歳未満では食物負荷試験で25%に陽性、
1歳では20%
2歳以上では数%以下
IgE値が3のとき
1歳未満では食物負荷試験で80%に陽性、
1歳では70%
2歳以上では40%
IgE値が10のときは1歳未満、1歳、2歳すべてが80%以上
牛乳はもっと年齢間で差があって、
IgE値が3のとき、
1歳未満は90%が誘発試験で陽性になる
1歳は50%
2歳は30%
生後半年までは特異的IgEが出にくいので、プリックテスト(次回の記事)の方が良いようです。年齢が上がっていけば、検査値がそれほど下がらなくても実際の負荷試験では症状が出にくくなるということでしょう。ただ、参考になるデータですが、あくまでも確率ですから、症状と検査値と年齢を総合して判断していくことが大切です。
IgE値が高値で最近実際にトラブルがあったり、ショック症状などの強い症状がでたことがあれば、食物負荷テストは行うべきではないと書いてあります。

次もアレルギーの検査、プリックテストについて(次の記事へ

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