亜鉛について

この間、外来でいろいろお話を聞いていたら、健康のために(不足がちになると心配なので)健康食品の亜鉛製剤を飲んでいるいう方がいました。確かに体の活動には鉄や銅や亜鉛などの微量な金属が必要です。でも用もないのに摂りすぎるとまた別の問題が起きてしまうかも。


亜鉛はホルモンやタンパク質や核酸を合成するときに働く酵素に必要な成分です。体の中では、次々といろいろな物質が変化して必要なものを作り出しています。ある物質からある物質に変化するときにお手伝いする役目を担うのが酵素というものです。いろいろなタンパク質もこの酵素の力を借りて作られます。その反応ごとにいろいろな種類の酵素がありますが、酵素の構造の中には亜鉛が入っています。亜鉛が足りなくなると化学反応が滞ってしまうのです。逆に亜鉛を運ぶ役目をタンパク質(アミノ酸)が担っています。つまりお互いに助け合っているということなのです。いろいろな栄養素がそろっていることが大切なわけです。
亜鉛は普通に食生活をしていれば欠乏することはありませんが、いくつかの原因で足りなくなる方がいます。
1)生まれつき亜鉛が吸収できない
2)母乳に亜鉛がでない方がたまにいる・・・母乳を飲んでる赤ちゃんに亜鉛が足りなくなる。
3)高齢者で亜鉛が足りなくなる理由
・老化に伴う吸収低下
・食物摂取量の低下(あるいは小麦製品などにかたよった食事)・・・うどん、そばばかり食べている
・植物の過剰摂取(植物に含まれるフィチン酸は亜鉛吸収を阻害する)・・・菜っ葉ばかり食べている
・カルシウムの過剰摂取(・・・骨粗しょう症の心配からカルシウムをとりすぎると亜鉛の量は減る
・亜鉛と朝の中でくっついて(キレート)しまうお薬を飲んでいる。・・吸収されずに便として出てしまう
・尿中への亜鉛排出増加(ストレス?)
亜鉛の吸収は、鉄や銅の吸収と競争関係にあります。亜鉛をとりすぎると鉄や銅が減ってしまうのです。鉄が減れば貧血になってしまいます。
体はうまくバランスをとっているんですね。何事もほどほどにということでしょうか。

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