子どもさんの頬や肘や膝に3-4mmほどのお椀型に盛り上がった赤いブツブツが集まったようにできる病気の中にジアノッティ(ジアノッチ、ギアノッティ、ギアノッチ(Gianotti)病 やジアノッティ症候群(Gianotti-Crosti syndrome、ギアノッチ・クロスティ症候群)と呼ばれるものがあります。
Gianotti病はB型肝炎ウイルスの感染、症候群のほうはEBウイルスなどの感染によっておきます。B型肝炎ウイルスはお母さんからうつりますが、今は妊娠時に調べて対応するようになったせいか、ギアノッチ病は個人的にはみたことがありません。症候群のほうはときどきあります。肝炎を起こすことがあるので、かわいそうですが血液検査をします。
B型肝炎ウイルスの感染は中国を筆頭にアジアに多く、肝臓がんの発生等、大きな問題になっています。皮膚科的には上記疾患をのぞけば、肝硬変や肝臓がんにともなってでてきた皮疹で患者さんをみることがあります。
さて、B型肝炎ウイルスには亜型があって、それに地域差があります。ちょっとまとめてみます。B型肝炎ウイルスと人類の大移動(アフリカを出てからホモサピエンスが世界に散らばった軌跡、The great journey)についてです。
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昨日から記録的な大雨になっています。熊本大分は大変なことになっています。当地は被害はありませんが、時折強い雨風が来ます。今朝はどんより曇っており、何か外に出る気がしません。ネットでお題探しをしてみました。
B型肝炎ウイルスについてわかりやすくまとめられたサイトを見つけました。特殊免疫研究所というところのHPです。http://www.tokumen.co.jp/column/kanzo2/01.html
このサイトの内容を簡単にまとめてみます。?は個人的な感想です(根拠はありません)。
ウイルスの型はA-Gまで10種類(うちHとIはそれぞれFとCと近い)ある。
1)地域差があります。図はこっち
AとD:ヨーロッパとインド
CとB:アジア
E-G:アフリカと南米
2)これらの型が別れた順番は? GからAの順(AとBが一番最後)
南米やアフリカが起源で、徐々にヨーロッパからアジアに拡散した。うーん、やはり人類の移動だ。
でも、南米に起源があるという点が不思議です。だって南米から始まったということは、もしヒトによって伝播したのなら、ヒトの始まりも南米にないといけません(考えにくいです)。あるいはアフリカからホモサピエンスが生まれて早期に南米に渡らないとウイルスは伝わりません(これも不可能です)。
たとえばHTLV1(ヒト白血病リンパ腫ウイルス)を持った集団はアフリカ、ヨーロッパからアジア、そしてベーリング海峡を越えて北米南米に広がりました。つまりThe great journeyを完遂しました。詳しくはこっち)。
また、ハンセン病はアフリカを出てからアジアまではたどりつけましたたがベーリング海峡を渡れませんでした。アメリカには大航海時代になってから上陸した人々によってもたらされたようです(詳細はこっち)。
B型肝炎ウイルスは南米に最も古いウイルス型が見つかること、アジア型が南米にないこと(北米はNYのデータであり人種のるつぼを反映し、さまざまな型が認められたそうです)などがHTLV1やハンセン病と異なる点です。最初から南米にB型肝炎ウイルスがあったということでしょうか?
これは、どう考えたらいいのでしょう。
3)それぞれの地域特性があるB型肝炎ウイルスの型はその地域に住むサルがもつB型肝炎ウイルスと遺伝子が近い(チンパンジーとヒトの肝炎ウイルスが別れたのは3000年ほど前と予測されるそう)。図はこっち
アジア、ヨーロッパのヒト型のA、B、Cに近いウイルスを持っているのは、インドネシアのオランウータン、テナガザル(ギボン)
アフリカ型のEに近いのを持っているのは、ゴリラとチンパンジー
南米型のFに近いのを持っているのは南米に棲息している下等なサル類であるウーリーモンキー(ヨウモウザル)
ウイルスはサルとヒトとの間で感染を繰り返してきたのではないかとのことです。ウイルスのキャッチボールですね。
4)南アメリカにアフリカと同じように一番古いタイプのウイルスが存在するのはなぜだ?
ウーリーモンキーは新世界サル(南米に住むサル)といわれ、中新世(500万年前から2300万年前)にはアフリカアジア型のサル(旧世界サル)とは分岐していたようです。500万年以上前にホモサピエンスが南米に住んでいた可能性はないですね。すると南米ではウイルスは最初サルが持っていて、後に移住してきたヒトにうつったということになるでしょうか?とすれば、アジアからアメリカ大陸に移動してきた(The great journey)以後に南米に移り住んだヒトが500万年以上前から先住していたウーリーモンキーからうつったということになるのでしょうか?ウーリーモンキーは食用にされていたこともあったようですね。
この図をみると、南米にはアフリカやヨーロッパにある型も混じっているので、初期にウーリーモンキーからうつった型や大航海時代以後ヨーロッパやアフリカから移り住んだヒトが持ってきたことがわかります。そして、南米にはアジア型がほとんどないのも頷ける。
じゃあ、ウーリーモンキーはどこから来たんだ?
安易にWikipediaで調べてみたら、大西洋を渡ってアフリカから来たという説と絶滅前に北米にいたサルが南下したという説があるそうです。大西洋の幅は今より狭かったし、サルも小型だったので木っ端かなんかに乗って来れたのではないかと書いてありました(本当でしょうか?)。ヒトの大移動も興味あるけど、ウーリーモンキーの方もけっこう面白そうです。でも、きりがないのでサルのgreat journeyには手を出さないようにします。
5)おまけ 日本でのウイルスの型の分布はどうか?
この説明のなかの図を見ると、(私の目分量です)
朝鮮半島はほとんどすべてC
九州は3/4強がC
沖縄は3/4がB
関東は3/4がC
東北はBとCが半々
北海道は関東と近い
つまり、弥生系がCで縄文系がBであると予測できる。B型肝炎ウイルスについては、九州から弥生人が入って来て、あまり南には行かず、北に北に広がっていったようです。他の感染症の伝播経路と似てますね。
6)さらに横道。参照したHPには、1970年代、ジアノッティ病が松山市の小児に集団発生しました。20年後に型を調べることができましたが、殆どの患者で日本では滅多に見られないD型(ヨーロッパ型)の肝炎ウイルスに感染していたことがわかったそうです。
なぜヨーロッパ型が愛媛にあったのか。日露戦争の時に負傷したロシア兵の療養所が松山にあったんだそうです。結構自由?な生活が許されていたようで、そのときに松山にD型の感染が起きたのではないかとのことです。100年以上前の出来事が理由だったんですね。日露戦争、松山、とくれば「坂の上の雲」でしょうか。NHKのドラマを想い出してしまいました。
ここに書かれた内容のほとんどは、特殊免疫研究所のHPの文章を参照しました。HPとこのサイトの間に違いがあれば本サイトの間違いです(解釈の誤りを含め)。また。本サイトの記載について問題があれば、削除しますのでご連絡ください。?がついているところなどは私のかなりいい加減な印象であり、根拠はありませんので、信用しないでください。何か問題やご意見があればお願いします。
疲れた・・・
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ども!面白い記事ですね。やっとゆっくり読めました。今日は休みをとっています。ほんとにウーリーモンキーはどこから来たのか? 「星を継ぐ者」by J.P.ホーガンのSFミステリみたいで面白いすね。 ウイルスで人の起源が分かるのは大変に興味深いです。 松山の捕虜収容所のことは何かで読んだな。やはり「坂の上の雲」かな。
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コメントありがとうございます。今回はちょっと消化不良でした。またネタ探します。