皮膚がんの統計

国内における直近の皮膚がんの発生と死亡者を調べる必要があって、ネット上で検索しました。皮膚がんのような希少がん(発生の少ないがん)の公的な疫学情報を単純にgoogleやYahooなどの検索サイトで探すのは結構大変です。いろいろなサイトがヒットする割には目的の情報にたどり着きにくいのです。例えば、皮膚がんx発生率、などで調べていただくとわかると思います。
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がん研究センターのがん情報サービスの集計表のダウンロードまでたどりつければ、最も新しい年度のエクセルファイルがダウンロードできます。細かい表から皮膚がんの項目を探し出します。年度と目的とするがんの年間の推定発症数、罹患率(りかんりつ、年間10万人あたり何人が皮膚がんと診断されたか)が男女別に出ています。概要をまとめた冊子が以下です。日本におけるさまざまな「がん」の発生の動向を知ることができます。
がんの統計’12 がん研究センター、がん情報サービス
この冊子の54ページに皮膚がんの死亡者数が出ています。
まず2011年の1年間に国内で何らかのがんで亡くなった方は357,305人でした。
皮膚がんはメラノーマとそれ以外の皮膚がんで分けて統計が取られています。
メラノーマでなくなった方 649人
メラノーマ以外の皮膚がんで亡くなった方 804人
1450人程度が皮膚がんで命を落としてることがわかりました。2005年は1200人程度でしたので増えています。
全年齢で見れば皮膚がんはがんで死亡する方の0.4%です。しかし、10歳から14歳の女性では2.0%、20-24歳の女性では2.4%を占めます。10代20代はもともとがんが少ない年代ですから実数は少ないのですが、メラノーマは他の皮膚がんと異なり、若い女性にも発症することを示しています。私の経験でも、若い患者さんは色白の方で胸腹腕太ももに発症した方が多かったと思います。
2007年に何らかのがんと診断された患者数は704,090人でした。がんは種類ごとに悪性度が大きく異なりますから単純に計算する意味はないかもしれませんが、大雑把にいえば、がんと診断された方の半数が亡くなる、あるいは半数は完治すると言えます。皮膚がんにかかった方の数(同68ページ)は、2007年で11,362人でした。毎年1万人強が皮膚がんになりますが、8-9割の方は命を失わずにいると予測できます。1年間にメラノーマと診断される方は1500-2000人程度といわれていますので、1/3程度の方が命を落としていると予想されます。メラノーマ以外の皮膚がんであれば、90%以上の方は治療により完治すると言えます。すべてのがんの中で皮膚がんが占める割合が最も高いのは25-29歳の女性で、すべてのがんの3.1%を皮膚がんが占めていました。

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