何かに手を刺された 急激に腫れてきた 物が二重にみえる ぼやけて見える

山仕事をしていたら指に突然激痛が走った。
何かに刺されたようで、指に小さな穴が開いていた。
蜂にはしょっちゅう刺されているが、蜂ではなさそうだ。
痛みはすぐにおさまったので仕事を続けていたが、急激に手が腫れて来たので刺されてから1時間後に下山した。
腫れは肘を超えてどんどん上に広がって来た。痛くなってきた。物がよく見えない。かすんでみえる。二重に見える。
意識はちゃんとあって、手と腕の腫れと物の見え方がおかしい以外は問題なく、元気である。
何かに刺された、腕が腫れてきた、物が二重に見える、・・・病気とは。
tadegawa2013jun
川はすっかり夏でした
yorozuigawa2013jun kazetatinu
川からのながめ 日傘を持った女の人が立っていたら、モネか風立ちぬ、か


指には2㎜ぐらいの穴が1個開いていて、小さな血液がこびりついている。
腕は腋の付け根まで棒のように硬く腫れ、むくんでいる。赤みはなく、むしろ冷たい。
かゆみはない。痛い。肘の周囲の皮膚に1cm大の紫斑(出血)がある。瞼の腫れはない。
このブログにはたくさんの写真を載せていますが、皮膚病の写真はありません。当初から患者さんから電話で尋ねられたことを電話で回答する場面をイメージしてきたからです。皮膚疾患は皮膚を診察しないといけないのですが、自分の場合ですと、皮膚を見たことによって逆に誤診してしまったことがあります(すごい言い訳です)。病歴と簡単な所見だけで考え付く鑑別診断をまず挙げてしまったほうが、誤診が少なくなるのではないかと思うことがしょっちゅうあります(ものすごい言い訳です)。まだまだ未熟だからです。
そこで、皮膚所見の記載のほとんどない、皮膚所見の写真もない皮膚科の本を出してみたいと以前から思っていました。病歴と所見の記述(文章)だけの本です。この案を周りの先生や何人かの出版社の方に相談したことがありますが、みんな口をそろえて「それは売れない」と言いました。そうですよね。写真のない皮膚科の本なんてありません。
さて、今回の記事の冒頭の病歴と簡単な所見は、たぶん電話で伝えられる内容だと思います。ある程度鑑別診断がが挙がれば診察ができなくても指示が出せるかもしれません。たぶん「早く病院に行け」ですが。
さて、この患者さんについては、痛みがすぐ治まったので、カバキコマチグモのような毒クモ刺症ではないと思いました。クモ以外の昆虫などに刺されたことによるアレルギー性の腫脹をまず疑いました。念のため血液検査を行ったらCKという検査値が1万を超えていました。筋肉が壊れている所見です。腫れている腕は丸太のようです。赤みは少なくかゆみもありません。全身に他にアレルギー症状もありません。
指を刺された+丸太のような腫脹+赤みなし+肘のところの1cm大の出血斑+物が二重に見える・・・マムシ咬症でした。
M先生がよく言ってます。「鑑別疾患の中で一番こわい病気に焦点を合わせる」
蜂などの虫刺されなら、刺された直後の重症のアレルギー(アナフィラキシーショック)がなければまず治療は不要です。指を何かに刺された(実は咬まれた)ときに、時間とともに一番問題になるのは、国内ではマムシということになります。良い勉強になりました。

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