ある日突然、体中にみみずばれのような少し盛り上がった非常にかゆいものが出たり引っ込んだりするようになった。朝出て昼には消えたのに夜になったらまた出る。蕁麻疹(じんましん、ジンマシン)です。とてもよくある皮膚病です。内科の先生から「原因について皮膚科で良く調べてもらってください」と言われて受診される患者さんがけっこういます。
今日のお題は、「じんましんの方の血液検査はどこまで詳しくやったらよいのでしょうか?」です。
本ブログでもじんましんについてたくさんの記事を書いてきました。
歯の詰め物によるじんましん
納豆によるアレルギーー
ピロリ菌はどこからやってきた?
運動すると体中がピリピリする
冷し中華とじんましん
蕁麻疹のガイドライン
フキノトウのアレルギー
唇が腫れた!
食べ物のアレルギーの検査 プリックテスト
食べ物のアレルギーの検査 IgE
カニ、エビ、魚のアレルギー
パンを食べてから運動したら倒れた
皮膚に字が書ける
頭がかゆい 何もできていないのに
ピアノを業者に引き取ってもらいました 自宅に来た40年前のことが思い出されて少しさみしくなりました。今年も1月が終わりました 年初に計画した目的のいくつかについては導火線に火をつけることができました。出だしはまあまあだったかもしれません。
今日、東大教授の佐藤先生の講演を聞きました。いつもように多くの論文を検証したデータ(エビデンス)を示しながら「どこまでわかっているのか」を明確にお話しされるので、とてもわかりやすい講演でした。この講演で取り上げられた題材を復習を兼ねて本日の記事にしてみます(間違いがあれば、私の責任です。また、関連するメーカーとの間にCOIがあります。バイアスがかかっている可能性は大いにあります)
まず、治りにくい蕁麻疹の患者さんにたくさんの検査をすると原因がわかる可能性は高くなるのか?
・・・結論。これまでの研究では広く深く検査をしたからといって原因がわかる率は高くならない(2003年JAAD)
じんましんの原因検索で原因がわかる率はどの程度か?
・・・原因不明が72% アレルギーの原因が同定される率は3.4% (1988 Br J Dermatol)
肝臓が悪い(肝炎)ことでじんましんが出ている可能性はあるか?
・・・肝臓の疾患とじんましんとの間に関連性はない
血液検査で調べなくてはいけない項目はなにか?
1)抗甲状腺抗体(ジンマシン患者の1-3割に陽性、ただしこの抗体が陽性でも甲状腺機能が低下していない場合は関係なし)と甲状腺ホルモン(低下していればホルモン補充すると蕁麻疹の17%治る・・・17%しか治らないとも言える、著者注)
2)白血球数、好酸球数、CRP(著者追加):何かのばい菌が入っているか(感染によるじんましんの可能性が)わかる)。白血球が少なければSLEなどの膠原病、好酸球が多ければ薬疹などが疑われる。
このブログで取り上げた蕁麻疹関連記事の題目を見ていただければわかりますが、アレルギーの原因検索に最も有効な手段は問診でしょうか。何を食べたか、何を塗ったか、職場はどうか、趣味は、化粧品は、アロマは、サプリは、漢方は?・・・といった生活環境をしつこく聞くことがやがり一番大切だということのようです。