今回のテーマは、指にトゲなどを刺した(つまり何かケガをした)後に、赤く腫れてきた。
・・・普通はばい菌が入ったと思うので抗生剤(抗菌剤:ばい菌を殺す薬)を処方します。
・・・1週間薬を飲んでも指の赤身と腫れが治らないどころか、赤みの範囲が手の平のほうにまで広がってきた。曲げるとものすごく痛い。
・・・血液検査でばい菌が増えているサインがない(CRP陰性、白血球増えない)+レントゲン写真を撮っても何も変化がない。
指一本が赤く腫れている。曲げるとものすごく痛い。
久しぶりに仙台に来ました。朝の散歩。愛宕神社というところに来てしまいました。
仙台でのミッションを終了して東京に移動です。もうすぐクリスマスですね。
化膿性腱鞘炎 かのうせいけんしょうえん
指の腹側のスジをくるむ袋の中に感染が起きた状態です。袋にくるまれているので、炎症反応(なんか火事が起きているぞ、という情報が外に出ない)が陰性、つまりCRPも上がらない、白血球も増えない(あるいは抗生物質が開始されているせいもありますが)病気です。また、骨には異常がないのでレントゲンを撮ってもわかりません。MRIでしかわかりません。整形外科で早めに切開して、膿を出してもらう必要があります。早ければ指に手術後の後遺症が残りにくいようです。
今月初めにあった地元の地方会で聞いた疾患です。皮膚科に限らず、医師同士の勉強のために様々な規模の研究会(いわゆる学会:がっかい)がそれこそ1年中開催されています。皮膚科で一番大きいのは皮膚科学会総会で毎年春に開催され、全国から皮膚科医が集まります。一番小さいのは市や郡単位で行われる研究会です。私の所属する地方会は県単位の大きさです。小さい会議はより現場感があって勉強になります。
皮膚科の教科書には載っていないが、現場では遭遇することがあって、見逃してはいけない病気が結構あります。最初からその病気を専門にする科に行けばすぐに診断が付くのに、皮膚科に来てしまったばかりに診断がつきにくい疾患があります。このような問題は皮膚科に限ったことではなく、すべての科に起こりうることです。
こういう皮膚科でよく扱う病気のちょっと外側にある病気を、個人的にには皮膚科辺縁疾患と勝手に呼んでいます。今回の症例は地域医療の元祖ともいえる佐久総合病院皮膚科からの報告です。good jobです。