かぶれと人間関係2016

記事のネタ探しに苦労してます。そこで以前書いた記事を見直してみました。このブログを始めた頃の2007年に書いた「かぶれと人間関係」という記事を見つけました。今日、全く同じ内容の会話を患者さんとしましたので2016の記事として再掲します。

今日の会話

1カ月前より両方の下まぶたから頬に赤い皮膚炎ができた。とてもかゆい。眼科で目薬をもらったが治らない。80歳代のご婦人の両方の下まぶたからほっぺにかけて逆三角形の発赤がある。とってもかゆい。皮膚科医はすぐ原因が浮かびます。そして皮膚科医と患者さんの間で(たぶんこれからも)永遠に繰り返される会話は以下です。

「使っていた目薬はなんですか?」

「000製薬の目薬です。でも30年以上ずっと使ってたんですよ・・・」

26年務めた当施設を離れることになりました。ずっと病理組織を一緒に見てきた病理の先生が特注のプレートを作って贈ってくれました。(開業はしませんよ)

皮膚科の若い先生たちと外来の看護師さんがゴールドの聴診器を記念にくれました。メラノーマの免疫療法剤治療が始まってから、自己免疫性の副作用の間質性肺炎の発見のために若いころに使っていたぼろぼろの聴診器を引っ張り出して使用してましたが、それを見かねてのことだと思います。聴診器の削り出しのカーブがスーパーカーのカウンタックのように切れていてカッコいいです。大切に使います。

目薬が頬の皮膚炎の原因である可能性があるときに、私が行う行動は以下の3点です。

1.まず説明

患者さんに「下マブタからほっぺたにかけて赤くなってるでしょ?他の部位にはなんにもできてないのだから、きっと赤くなっているところに触れている何かによるかぶれをまず最初に疑ったほうがいいと思うけどね」「でも目薬は30年も使ってるのよ」

・・・ここで説明すべきポイントは2つ

1)薬屋さんも化粧品屋さんも、日々製品の質が上がるように研究してると思うよ。入れ物や商品名が一緒でも、中身は進化している(効きそうな新しい化学物質が追加されている)のじゃないかな?

2)「蜂に刺された時のアレルギーは2回目に刺された時が危ない・・・という話を聞いたことはありませんか?この話は半分は間違っていますが、半分は正しいのです。アレルギーは人間関係と同じです。最初に出会った時には相性はわかりません。多くは長く付き合っていけますが、中には付き合っているうちに「あぁ。この人とはつきあいたくないなぁ」と思うことがあります。目薬を何年も使っているうちに「私は目薬に含まれている00がいやだなぁ」と思った瞬間からアレルギーが起きるのです。

2.次の行うべきこと

1)目薬を止めてもらう

2)上腕の内側に場所を決めて、使用中の目薬を1円玉程度の範囲に2‐3日、毎日1回塗ってもらう。赤くなってくれば目薬が原因とわかります。ポイントは「すぐには赤くならないからね。赤くなるまで2‐3日かかるからね・・・」と話しておきます。

以上をお伝えすると患者さんはたいがいわかってくれます。今日ふと思いましたが、アレルギーという病気についての一般の方の理解は10年前とくらべても、まだ十分ではないな、ということです。これからも丁寧に説明していく必要がありますね。

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