10歳以下のお子さん、特に年中さんから年長さん、あるいは小学生低学年
耳の後ろから後頭部の髪の毛の根元に白いふけのようなものが付いている
毛の根元に白いものが円柱状に毛にまとわりついているようであればフケです。ヘアキャストといいます。指やピンセットでつまんでそっと持ち上げると毛に沿って抜けてきます。ほっておいてよいものです。美容的に気になるようならフケのみを抜いてください。洗髪が不十分なせいではありません。
もし、毛からつぼみのように少し細長いラグビーボール状のものが(もっと例えればネコヤナギのように)くっついていればアタマジラミの可能性があります。
参考:国立感染症研究所の説明パンフレット
今年の紅葉はきれいです。出張途中の峠。
今週末は長野で研究会。早朝善光寺まで散歩。切れるような空気の中に重厚な読経が響いていて気持ちが良かった。
善光寺山門。
小布施にちょっと寄りました。
シラミには多くの種類がいるそうですが、ヒトに問題を起こすのはアタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミです。ケジラミは性感染症として陰毛に、コロモジラミは字のごとく不潔な環境で服について吸血します。コロモジラミは戦後の衛生環境が悪かった時代に多発し、発疹チフスをうつすことがあるのですが、今の日本ではほとんどまったくありません。ケジラミやアタマジラミのイメージから、シラミというとパニックになりそうですが、アタマジラミは違います。幼稚園や学校で集団発生することも少なくありませんが、子供が対象になるので冷静に対応することがとても大切です。主な注意点は以下です。
1)まずアタマジラミは病気を媒介(ばいかい:吸血するときに発疹チフスなどの菌をうつすこと)はまずない。
2)集団で一気に駆除すれば大きな問題にならない
3)頭と頭をくっつける(昼寝、ゲーム、そのほかの遊びなど)様なことをしなければ、手からあるいはプールで感染することはない(シラミだって血が吸える人の肌から離れたくない)。
4)床や施設を消毒する必要はない
5)大きな問題にする、騒ぐ、幼稚園や小学校に苦情を言う、犯人探しをする、などのことをするとシラミがついてていた子供が傷つき、登園や登校に問題が出たり、仲間はずれになることがある。当人にとっては心の傷となって残るかもしれない。
騒がず、落ち着いて、さっさと処理してしまえ、ということです。診断した医師の方も親御さんに対する説明時に注意が必要ですね。10歳以下の子どもに多いのは、自分で髪の毛を洗うようになる年頃で、親の目が届かなくなる。洗髪がきちんとできない、あるいは手を抜く(うん。面倒くさいので髪の毛だけそっと濡らして風呂から出てきた、なんて記憶があります)なんてことと、互いに密着して遊ぶことが多い年代であることなどが原因かもしれません。
治療はスミスリンです。薬局に売っています。ただ、沖縄や都市部ではスミスリンが効かない虫が増えています。
効かない場合は、串で削ぎ落せば治せます。利き腕と反対側の後頭部に虫の付着が多いそうです。虫の気持ちになれば当然ですかね。詳しいことは感染症研究所のパンフレットを参照してください。
さて、横道。
アタマジラミとコロモジラミはもともとは同一種で、遺伝子の差から推測すると7万2千年前(+/-42000年)に別れたのではないかという報告があります。アフリカ以外のシラミに比べてアフリカのシラミの方が遺伝子に多様性がある(いろいろバリエーションがある)ことより、コロモジラミもアフリカから世界に広がったと推測されています。私の好きなグレートジャーニーです。(しかし、その後、コロモジラミは118万年前に大きく2種に別れたが、出アフリカとの関連は確認できないとの報告も出ています)
さて、コロモジラミとアタマジラミが7万年ほど前に別れたたとすれば、少なくても7万年程前にはヒトは衣を着始めたということになります。ヒトがなぜ衣を着るようになったのかという理由として、気候が寒くなったという仮説があります(わかりやすいストレートな理由ですね。関係ないですがこの2-3日は当地も放射冷却で寒いです)。一方、118万年前に2種にわかれたとする研究データーでは、ホモ・エレクトスと現生人類につながる系と別れた時期で衣との関係よりは種と関係したできごとだと述べています。
7万年から7万5000年前にインドネシアで大きな噴火があり、それにより地球全体が冷却され氷河期を迎えたという説があります。そうです。このころから寒くなったんですね。地質学的な仮説とシラミの遺伝子が結びつくなんて不思議ですね。因みにこの寒冷化により生き残ったのは原生人類とクロマニヨン人だけだと言われてきましたが。2年前にロシアのデニソワ洞窟で4万年前の化石が見つかり、ほかにも生き残っていた種がいたことがわかり、話題になりました。デニソワ人です。
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札幌も手稲山に冠雪が見られ、いつ平地に降雪があっても不思議でありません。ただ以前はどこでもたくさん見られたユキムシが多いところと少ないところがあるみたいで、宿主のヤチダモとトドマツの両方がある環境が減ってきたのでしょうか。
ところで最近の分子系統学と質量分析計のデバイスである同位体比の成果はめざましいですね。突っ込めばどの分野も教科書を書き換えないとならないようなトピックがありそう。
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NRさんありがとうございます。学校へ行く途中の橋の上でユキムシが舞った風景が思い出されました。ユキムシにいきなり本物の雪が重なった記憶もあります(思い違いかもしれません)。宿主があったんですね。ヤチダモとトドマツとは知りませんでした。遺伝子から時間を測るという手法が本当に正確なのかよくわかりません。一定の速度で起こるとは考えにくいからです。長い年月でみると平準化するのでしょうか。
アメリカや中国で薬剤耐性があるシラミが大発生して問題になっています。
中国では強い薬品を使った子供の死亡事故が多いようです。
シラミは蝉の仲間であり餌がなくても長期間生きていられるので駆除が困難です。
皮肉にもDDTが禁止されてから、新薬の使用で耐薬剤性が強いシラミを生み出してしまったようです。
古代文明の生き残りの遺伝子を持つ人は、顎が退化して小型化しています。
イギリス人やスペイン人も歯並びが悪い人が多いようです。