赤ちゃんの目のまわりりやほっぺに白いブツブツができている

稗粒種(はいりゅうしゅ)
眼の周りに1㎜程度の小さい白いぶつぶつがたくさんある
稗粒種(はいりゅうしゅ、と呼びます)はありふれた皮膚の症状です。顔、特にマブタや眼の周りの皮膚によくできます。中に詰まっているのは角質(垢、アカ)です。赤ちゃんはほおっておけば自然に消えます。
この数年間、数十年間効く薬のなかったメラーマの新薬の開発に関わってきました。イピリムマブ(商品名ヤーボイ)、ベムラフェニブ(商品名ゼルボラフ)、インターフェロンα(商品名ペグイントロン)、ニボルマブ(商品名オプジーボ)、ペムブロリズマズ(商品名キイトルーダ)です。薬剤を世に出すために支えてくれた臨床研究支援センターの方たちが送別会を開いてくれました。お礼を言わなければいけないのは私の方です。本当にお世話になりました。

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指にトゲ刺した 腫れた 治らない

今回のテーマは、指にトゲなどを刺した(つまり何かケガをした)後に、赤く腫れてきた。

・・・普通はばい菌が入ったと思うので抗生剤(抗菌剤:ばい菌を殺す薬)を処方します。

・・・1週間薬を飲んでも指の赤身と腫れが治らないどころか、赤みの範囲が手の平のほうにまで広がってきた。曲げるとものすごく痛い。

・・・血液検査でばい菌が増えているサインがない(CRP陰性、白血球増えない)+レントゲン写真を撮っても何も変化がない。

指一本が赤く腫れている。曲げるとものすごく痛い。

久しぶりに仙台に来ました。朝の散歩。愛宕神社というところに来てしまいました。

仙台でのミッションを終了して東京に移動です。もうすぐクリスマスですね。

 

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小さく取るがん(癌)、大きく取るがん(癌)

がんの治療の基本は(完全に取れると予想されるなら)取り除いてしまうことです。がんを切除するときは、がんの組織を残さないように少し離して(正常組織でがん組織をくるむように)切除します。メスを入れるときに、がんのヘリからどれだけ離したか(距離)を、よくマージンといいます。今回はマージンについて。

ESMO(欧州臨床腫瘍学会)でコペンハーゲンに来ました。7時すぎにやっと明るくなり始めました。ホテルのそばの運河です。寒いです。

壁全体がぼろぼろの布で覆われたビルがありました。写真を撮っていた方に聞いたら「Artだ、たぶん」と言われました。

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足の裏のメラノーマの原因は荷重による刺激?

メラノーマは白人に多いがんです。白人のメラノーマの原因の一番は紫外線です。なので、白人のメラノーマは顔や首、背中胸、お腹、腰、腕や下肢によくできます。しかし、日本人のメラノーマの半数は手足(特に足の裏や爪)にできます。メラノーマの部位別の発生率は白人と日本人で差はありません。白人より肌に色がある分、紫外線に強いので、白人型のメラノーマが非常に少ないので見かけ上、手足のメラノーマの比率が多くなっているということです。

さて、足の裏は日本人のメラノーマが良くできる部位ですが、その原因は荷重や外傷などの外からの刺激ではないかという考えは昔からありました。なんとなくうすうす感じていることを証明できるとすっきりします。以下の論文は、足の裏のメラノーマの発生部位を解析したものです。やはり、趾の腹から足の裏の土踏まず以外の荷重部(接地面)にメラノーマが多いことがわかりました。

Melanomas and Mechanical Stress Points on the Plantar Surface of the Foot, N Engl J Med 2016; 374:2404-2406

20160619

昨日は皮膚の病理組織の学会で浅草橋のホテル泊でした。このあたりに宿泊するのは初めてです。そこで早朝散歩。 柳橋(神田川)を出発して大川沿いに北上します。

20160619-2

浅草寺まで 今日も暑くなるぞ、という予感。

20160619-3

帰り道 元気が出そう

日本皮膚悪性腫瘍学会2016 成人T細胞性白血病はもう風土病ではない?

日本皮膚悪性腫瘍学会で鹿児島に来ています。すばらしい講演が組まれており、とても勉強になります。個人的にほとんど診察することのない病気ですが、今後出会う可能性があるかもしれない成人T細胞性白血病に関する内丸薫先生(東大医科研)の講演で聞いた内容をまとめておきます(もし内容に間違いがあれば私の理解の問題です)

成人T細胞性白血病はHTLV-1というウイルスをもっている方のごく一部(5%)に発症します。 このウイルスを持つ方は九州や沖縄、中国四国地方の海沿い集中している風土病として発見されました。その後、このウイルスを持つ方は日本だけではなく、アフリカ、東南アジア、南米などにもいることがわかり、アフリカを出たホモサピエンスの古いグループが持ってきたのではないかと推測されています。成人T細胞性白血病は ウイルス学と人類学を結びつけた疾患です。
さて、今回聴講して心に留めなくてはいけないと思ったポイントは次の2つです。

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