口内炎が治らない 皮膚科でも対応できます

比較的大きな病院の外来の入り口には、「どの科にかかったらよいか?」ということを案内する窓口が用意されています。看護師長レベルの方が日替わりで対応していることが多いと思います。どの科にかかるのがベストかを決めなければいけないので総合診療科的な診断能力とその病院にある各科の得意分野などを把握している必要があります。重要な役割です。

口内炎は症状から大きく2つに分けると、1㎝以下の丸く白く深い口内炎(アフタ性口内炎)とそれ以上の大きさの(形が丸くない)ただれに分けて考えるといいと思います。前者はけっこうよくあって、1-2週で治ります。治ってしまうようなら問題ありません。医学生に「アフタ性口内炎と言えば?」と聞くと「ベーチェット病です」とすぐ答えます。・・・がベーチェット病は稀です。もっと注意しなければいけない口内炎は後者です。口蓋(こうがい:口の中の天井の部分)、頬の粘膜、歯肉や舌がただれてなかなか治らない。まず皮膚科医が考える病気は頻度順(よくある順)に・・・天疱瘡、扁平苔癬、薬疹>>>膠原病、免疫不全>>>>>癌、です。最初の、天疱瘡、扁平苔癬、薬疹は皮膚科が扱う病気です。口の中のただれで治りにくい場合は皮膚科も候補にいれていただくとありがたいです。

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ベーチェット病は渡来人(弥生人)の病気だ

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朝が明るくなってきました。

骨盤が立つ・・・尾てい骨の皮膚が硬くなっている

サッカーのアジアカップも終盤です。日本はどんどん良くなってますね。イラン戦は見事でした。先制点が勝敗を分けた感じもしますが・・・。長友が「試合前に「みんなの骨盤が立っていたので勝てると思った」とコメントしていたそうです。骨盤が立つ・・・皮膚科でもとても大事です。特にお年寄りは。

過去の記事

尾てい骨(臀部、おしり)の皮膚が硬くてごわごわしている、ちょっと茶色くなっている、70歳以上・・・褥瘡(床ずれ)予備軍です・・・座り方が大事

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急にしもやけ(シモヤケ、凍瘡)になった 高齢の女性

昨年末の冬の入りは、なんとなく暖冬でしたが、ちゃんと帳尻を合わせるように年明けから寒くなりました。リスクとは悪いことが起きる確率ではなく、良いことと悪いことの幅を示しているので、悪いことがあるときっと良いこともあります(いつ良いことが起きるかわかりませんが)。逆もありです。

今回は、今までなんともなかったのに、一昨年から、去年から、今年から、寒くなると手の指に痛痒い丸い赤いできものができるようになった。シモヤケでしょうか?という患者さんが時々います。60歳以上の女性・・・・が多い。

シモヤケは普通の病気ではありません(個人的な意見です)。シェーグレン症候群などの膠原病が隠れている可能性があります。シェーグレン症候群は”抗核抗体”が陰性でも否定できません。抗SS-A抗体の有無を調べないとわかりません。

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しもやけになった!痛くてかゆい冬の皮膚炎 ・・・以前は春になってもシモヤケがあれば膠原病を疑え!と教わりましたが、冬にできても変だと思います。この記事訂正します。

シモヤケと縦横縦横の亀甲文字

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今月の札幌は晴れる日が多く(だから寒いのですが)、気持ちがいいです。近くのスキー場です。

早朝の駅も好きですが、空港もいい感じです。羽田には雪がありません。寒いところに住んでいると幸せの閾値が下がります(幸せ度が高まるということです)。

 

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平成30年大晦日

今年も最後の日になりました。朝は近所の日帰り入浴施設”お殿様の湯”に入り、露天風呂で雲一つない空を見上げていたら、入ってきたおじいさんに「今日は寒いねぇ」と声をかけられました。「晴天ですからねぇ」と答えたら、「そーだねぇ」とおじいさん。まったりと、そして午前中に入浴している罪悪感を少し感じながら「しわせだなぁー」と思ったのでした。

さて、今年を振り返ります。

1月 新年のご挨拶と故大野乾先生の書籍をもじって「大いなる仮説」でパンダの模様とシャムネコの模様について。今一つでした。

2月 札幌2年目に入りました。アレルギーの原因検査のパッチテストで何が調べられるのか、について書きました。パッチテストはかぶれや薬疹の原因を調べるとても優れた検査ですが、セットになっていない日常品(化粧品、石鹸類など)について調べるときは大変手間がかかりますが、とても安い検査です。21種まで1個160円、22種以上検査した時は3500円(これに個人の支払い率、通常3割をかけると個人負担は1種類当たり50円ちょっとになります。特に皮膚科医が常勤している機関病院以外の皮膚科でこの検査をやっている皮膚科の先生は本当にご苦労だと思います。

3月 教授の新任や退官の記念学会で発表することの怖さや大切さについて個人的な感想を述べました。紅白は星野源のSUNだ。このヒトぐらい働いたらよい仕事ができるだろうな。

4月 Visual Dermatologyという皮膚科の雑誌の4月号は毎年新人向けの特集を組みます。今年はありがたいことに編集を依頼いただきました。私の施設のスタッフの総力を挙げて”皮膚科の問診術”と題して企画しました。抗PD-1抗体による癌の免疫療法が癌治療を変えて4年経ちました。どのような条件を持つ方が薬が効きやすいのか?という点が調べられています。肥満の男性は新薬が効きやすいのではないか?という記事を紹介しました。

5月 東京に次いで二番目に札幌にできたメラノーマ患者会に呼んでいただきました。とても良い経験になりました。新しいお薬の開発を行う上で重要な治験の探し方について書きました。毛染め剤が合わなくなってしまったときの代替品について書きました。

6月 毎年6月初旬は皮膚科最大の学会と世界最大のがん治療の学会ASCOが重なって開催されます。どちらも重要な情報を得て勉強できる会議です。あわただしいですが今年も両会議を楽しむことができました。昨年末に抗PD-L1抗体という3番手のがん免疫療法剤がメルケル細胞癌という、これまた非常にめずらしい皮膚腫瘍に保険適応になりました。メルケル(Merkel)細胞がんについて書きました。

7月 紅白はミルねーさん。懐かしい。がん患者さんにはいろいろな皮膚のトラブルが起きます。癌の雑誌に皮膚のトラブルの見方や対応について書きました。夏に出やすい皮疹について書きました。北海道の夏は美しく、そしてそれを楽しめる期間は限られています。今年もなんとか2回、海で遊ぶことできました。天売は天気が悪かったのですが行ってよかったです。よい思い出になりました。

8月 紅白はPerfumeだ。毎年映像がすごいなぁ。

皮膚炎の形が幾何学的なときは外からの原因(かぶれなど)を疑う、という記事を書きました。

昨年に続いて3回目の積丹半島カヤックに出かけました。陸路ではいけないシシャモナイの滝が落ちる海岸に上陸できました。今回はニューヨークから参加のご夫婦と一緒のツアーでした。来年はお子さんたちを連れてくるそうです。気にいったんですね。昨年はシンガポールからカップルが参加されてましたので、ニセコだけでなく、積丹も世界から注目されつつあるのかもしれませんね。本当にいいところなんです。紅白ではけん玉成功。ギネス記録。セカイノオワリ、サザンカだ。オリンピックはずいぶん前だったような感じがする。

今年もお山の診療所に行けました。昨年より軽く登れたのですが、下山時に登山口手前の平らなところでこけました。頭の中と足腰の間のギャップが広がっているようです。

9月 WHOが出している皮膚腫瘍の分類の改訂4版が出ました。メラノーマとほくろの項に参加させてもらいました。何年か前にメラノーマの病理診断についてソウルで話さないかと、当時の皮膚病理の理事長のお誘いを受けたのがきっかけです。相当のストレスでしたが、何とかこなした後には一つのハードルを越えたような達成感がありました。その後、その時に知り合った韓国の先生方と親しくなり、太田(テジョン)に呼んでもらったり、今回のオファーに繋がりました。出会いは大切です。

お薬手帳を病院に持って来てもらうことの大切さを書きました。大きな揺れがあって、北海道は停電になりました。病院には緊張が走りました。関係者のサポートに感謝します。電気がないことの大変さを実感しました。停電の街はとても静かでした。電力が回復して横断歩道に音楽が流れ始めたときに現実にもどったような不思議な感じがしました。多くの方が被災されました。お見舞い申し上げます。

紅白はサブちゃんの祭だ。

10月 ヨーロッパのがん治療学会に行きました。突然訪問したミュンヘン大学皮膚科で退官寸前の教授とドイツ皮膚科学会のレジェンドにお会いすることができ、ご著書をいただきました。一緒に行った友人に、(ちょと大げさなたとえですが)アリアンツ・アレーナに見学に行ったら、偶然廊下でベッケンバウアーに会い、彼にサイン入りのユニフォームをもらったみたいなもんだ、と言われました。紅白は松田聖子だ。若いころ(失礼)と歌い方が同じなのがすごい。

ずっと治験でかかわってきたチェックポイント阻害薬の開発の始まりを見つけたお二人がノーベル賞を受賞されました。治験を始めるときに関係者で集まったときの会議の熱さを思い出しました。

11月 顔の皮膚がんを色からから解説しました。フレデリー・マーキュリー、ボヘミアンラプソディはよかった。紅白は椎名さんと宮本さん。かっこいいなぁ。曲の終わりに椎名さん「良いお年を」でしょうか。ユーミンはひこうき雲からやさしさに包まれたなら。小さい頃は神様がいて・・・眼に映るものはメッセージ。うん、いい。次は星野源。

12月 記事が書けない月になりそうだったので天皇誕生日を挟む連休になんとか、仕事による手荒れについて書きました。米津さん、生の声が聞くことができたと家族が盛り上がっている。いい曲だ。次にMISHA、うまいなぁ。ゆず。そしてうわっ布袋さんだ、石川さゆり、天城越え。嵐、そしてサザン。勝手にシンドバット、懐かしい。なんとか精いっぱい生きたな、と思ったので、今年はまずまずとします。明日から来年だ(あたりまえだ)。

手荒れとお仕事

皮膚科に手荒れの患者さんがたくさん来ます。手全体がカサカサして、指先がひび割れているけれど、赤みやかゆみがなければ、お湯と洗剤による皮膚の保湿成分の流出によるものと考えます。これは頻回に手を洗ったり、素手で洗剤をいじっていれば誰にでも起きることです。でも手が赤く、かゆければかぶれが起きています。家事で起きるこ場合はなんとか予防も可能ですが、現在従事している仕事が原因の場合はなかなかやっかいです。仕事は生きていくための生業だからです。今回は職業による手荒れについてです。
参考:Monthly Book デルマ、2018年12月号の特集(達人に学ぶ“しごと”の皮膚病診療所“(産業医大 中村元信先生編集)より
よし、冬がきたぞ、・・・・と。まだ余裕があります。

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顔の皮膚がん 茶色 黒 赤

皮膚がんが一番多くできるのは顔です。紫外線を浴びやすい部位だからです。紫外線は皮膚の細胞の遺伝子に傷がついて、それがたくさんたまって(やっと)正常を超えて増える能力をもった細胞ができ、長い年月をかけて育ちます。ほとんどは良性です。ごくまれに際限なく細胞が増えて、周りの正常な組織を壊したり、他に転移して人の命を奪うもの(悪性腫瘍あくせいしゅよう、癌・がん)ができます。表現に正確性や確実性が欠ける部分があるかもしれませんが(・・・つまり「必ず」か?と問われれば。。。そうじゃないですと答えなければいけませんが)、多くの顔の皮膚がんは、

1.高齢者(70歳後半以後)

2.何年もかけてゆっくり進む

ので、早期に診断するまで比較的時間にゆとりがあります。

高齢者の顔の、黒いできもの、茶色のできもの、赤いできもので皮膚科にかかったほうがいいポイントをまとめておきます。

とても丁寧に作られていると思いました。おすすめです。★★★★

 

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皮膚科のレジェンド

今日の午後、友人に誘われてミュンヘン大学皮膚科を訪問しました。アポもないのに、運よく、今月で退任される現教授にお会いすることができました。来月、新任教授がチューリッヒから就任されるそうです。その後、病院を見学しながら歩いていたら廊下に歴代の教授のブロンズ像が展示されていました。各先生のお名前は皮膚科のいろいろな病名となっています。病気を定義づけた、発見した歴史的に著名な教授達であるわけです。レジェンド達の像の中には、現在もご存命(失礼)ドイツ皮膚科学会の大御所もおられます。そのミュンヘン大学の名誉教授が現在、医学史に興味を持っておられると説明を受けている最中に、ご本人が偶然通りかかりました。ニコニコしがらお部屋に連れて行っていただき、著書(Pantheon of Dermatology)を解説してくださいました。分厚い本には名前しか知らなかった皮膚科のレジェンド達の写真や古い症例写真や絵が満載です。「この先生は知ってるか?」「この足が黄色い絵の疾患は?」「オレンジの食べ過ぎです」「日本の有名なオレンジの名前は何て言ったかな?」「みかんです」「そうだみかんだ」・・・・梅毒症例も多く、もちろん日本の皮膚科のレジェンド達の写真や記事もまとめられています。皮膚症状を描写した絵には写真にはない味わい(訴えてくる特徴)があります。絵で診断能力を磨くというのもいいかもしれないと思いました。

終始、先生は好奇心に満ち満ちたお顔で説明してくださいました。帰りがけにご著書までいただいてしまいました。忘れられない素晴らしい午後となりました。

Pantheon of Dermatology provides an exciting introduction to the history of dermatology through the life stories of its most important protagonists.

Springer(出版社)の説明より(このPDFには内容一部として、Kaposi先生やAckerman先生が紹介されています)

*(いただいておいてなんですが)皮膚科の研修施設には1冊あったほうがいい書籍だと思いました。また、絵や写真とその説明を読むだけでも面白いです。

Pantheon of Dermatology
Outstanding Historical Figures
▶ 209 outstanding personages covering a span of six centuries
▶ biographical sketch and an assessment of the individual’s impact on
dermatology
▶ 2107 illustrations, including rare documents and portraits
Auspitz sign, Kaposi sarcoma or Herxheimer reaction:

Who were the individuals who gave their names to these terms?

What was the impact on medicine during their lifetime?

What is the significance of their work today?

The authors introduce all who are interested in medical history and especially in the development of dermatology as a specialty to 209 outstanding personages covering a span of six centuries. Text and illustrations are combined to provide both a biographical sketch and an assessment of the individual’s impact on dermatology. There are 2107 illustrations both from private collections and international libraries, including rare documents, portraits and other impressive mementoes of past medical epochs. Pantheon of Dermatology provides an exciting introduction to the history of dermatology through the life stories of its most important protagonists. As Thomas Carlyle said: History is the essence of innumerable biographies.

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 2018 ミュンヘン

ヨーロッパでがん治療に関する最大の会議がESMOです。今年はミュンヘンです。初めて来ました。主にメラノーマのセッションに出ています。どんな病気でも同じですが、新しい治療薬が出てくれば、どちらがいいのか、再発したらどの薬に変えたらいいのか、効果はどうか、副作用は?・・・といった疑問がたくさん出てきます。治療する患者さんの数が増えてくれば、だいたいの傾向が見えてきますが、最初は手探り状態です。今回のESMOでも、そのような疑問に対する答えになりそうなデータが出始めていました。新薬の治験の結果もちらほら。

いいフレーズだ、と思った。

晩秋ですね。札幌よりちょっと寒いけれど、晴れていて気持ちいいです。

 

 

 

 

ノーベル賞

先ほど今年のノーベル医学生理学賞が発表になりました。PD-1を発見した京都大特別教授の本庶佑(ほんじょたすく)先生とCTLA-4を発見したJames Patrick Allison先生です。先生たちは免疫反応の調節の仕組み(免疫反応が暴走しないように抑えるブレーキのしくみ)をみつけただけでなく、さらにそこから薬剤を開発し、がんの免疫療法を劇的に変えました。仕組みの発見から薬が現場で使えるようになるまで20年以上かかりました。

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