釧路湿原を見て考えた

釧路空港に行くまで時間があったので細岡という展望台に連れて行ってもらいました。すごい眺望でした。手前に蛇行する釧路川、湿原をはさんで地平線に雄阿寒岳、雌阿寒岳が鎮座します。広大な湿原は縄文の時代は海だったそうです。こんな景色はやっぱり原始を残す北海道ならではです。四半世紀前に行ったケニアのマサイマラの平原や大地溝帯を見た時のような感じがしました。

景色を見ながら、縄文の集落が消えていったのは(少なくても初期は)決して弥生人による侵略(人的な勢力争い)ではないと思いました。定住と安住の束縛(まだ見ぬ地への不安あるいは先住民がいる地へ乗り込むことによって起きるであろう戦いへの懸念)から徐々に住みにくくなっているのもかかわらず(変化があまりにゆっくりだったから)先祖伝来の安住の地から離れることができなかったのではないのでしょうか。

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Vogt・ 小柳・原田病

ピロリ菌?

ハンセン病

成人T細胞性白血病リンパ腫ウイルス

弥生人が持ってきた病気

結核

ベーチェット病

冠雪した旭岳と十勝岳

 

 

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高齢者が急に魚のアレルギーになった アニサキスかも

魚を食べてたらしばらくしてから全身にかゆい発疹(じんましん)が出て、唾液(つば)が増えてきた。吐いた。下痢した。意識を失って病院に運ばれた。・・・アナフィラキシーショックですね。そうか、魚のアレルギーになっちゃったんだ、と、注意していたのにイクラの醤油漬けを食べてまた同じことが起こった。

アニサキスのアレルギーかもしれません。先日郡山であった皮膚科の学会で報告がありました。アニサキスは魚以外にタラコやイクラなどの魚の卵にもいます。アニサキスのアレルギーはアニサキスが生きていなくても(アニサキスに火が通っていても・・・寄生している本体の魚や卵が熱加工されていても、冷凍・冷蔵されていても、醤油漬けされていてもですね)、アレルギーを起こす成分は残っています。

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魚を食べてアレルギーになった(原因:バルブアルブミン、ゼラチン、コラーゲン、そしてアニサキス)

大学構内の樹々が色づいてきました。。

釧路に来ました。35年ぶりです。35年前も大きな夕日が見られましたが、今日も素晴らしい夕焼けでした。

無彩色と茜色の組み合わせはきれいですね。モネはただ正確に色を写し取ったのだと思います。あっちは日の出ですが。もちろん釧路じゃないですが。

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手足口病 2017

4-5歳までの子供の手の平や足の裏に赤い小さいブツブツができて、白い水ぶくれになる。水疱が3-4㎜程度に育つ?と(特に手の平では)皮膚の(指紋の)しわの方向に長軸を合わせた楕円形になる。口の中にも同じようなブツブツと水ぶくれができている。自分の口で症状を話せる場合はピリピリと痛む、などという。子供は元気で特に問題なく治ってしまう。・・・これが“よくある”手足口病(エンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA16)でした。

でも、2010年頃から、高い熱が出てから1-2日後に体や腕や脚などの広い範囲(全身)にもブツブツガ出る、水ぶくれが大きい(1㎝ぐらいになる)、喉の奥の方までぶつぶつができるので喉の痛みが強い、治ってから1-2ヶ月後に爪に横線が入る、などの激しい症状を示すタイプ(コクサッキーA6型)が流行るようになりました。今年も患者さんが多数出ています。

2017年8月17日(昨日)、国立感染症研究所のHPに最新の動向がUPされましたので、最新データをにらんでみました。

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夏に多い皮膚病

手足口病2010

幼稚園や学校をお休みしないといけない感染症

今年のお盆はずっと雨がちでしたね ちょっと出た青空

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登山中にこけて手をついた 腫れてきた 冷やし方

 

今年も“お山の診療所“に行きました(関連記事:お山の診療所 201120132015)。お盆+山の日から続く連休中+土日、であり、患者さんが多いのではないかと思いましたが、数名でした。同行した若き外科医がてきぱきと対応してくれて、おじさん皮膚科医はとても楽でした。

患者さんの中に転倒時に手をついて手首を痛めたといって受診された方がお二人いました。お一人は痛みと腫れがあり、捻挫や骨折が疑われました。「何か処置はしましたか?」「骨折が疑われるときは冷やしてはいけないと言われたので、そのままにして小屋まで来ました」とのこと。なかなか正しい知識は広がらないのでしょうか。登山で移動中であれば制限もありますが、答えは、”まず冷やす(持参の保冷剤、沢水、雪渓の雪(あれば)”“動かさない:棒状のもので固定する”“圧迫:患部を包帯で巻く”(上肢なら)“なるべく高い位置に置く(三角巾)”です。

今回は皮膚科には直接関係ないのですが、(登山中はないと思いますが・・・)冷蔵庫の氷などを使った場合には冷やしすぎて凍傷になってはいけないので、冷やし方について。

素晴らしい朝焼けです

槍ヶ岳を包んで30秒間白い虹がかかりました 8月11日のNHKの山番組で白い虹は珍しいと紹介されていたので良いものを見られたと思いました でも後で写真をよく見ると少し色がありますね

患者さんの来所も途絶え、夜を迎えます さて、私たちも・・・そろそろ つまみを作ります。

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右手の小さなイボ

今日は8月11日、山の日です。先ほどNHKのニュースで、御巣鷹山に日航機が墜落してから明日12日で32年になり、事故で亡くなった小学生(甲子園大会に行こうとしていた)の同級生(40歳になっているのです)の話が紹介されていました。32年前、私は大学の最終学年でした。札幌からの帰省途中で、8月13日に上野から長野に向かう特急に乗っていました。碓氷峠を過ぎ、長野県に入ったところで上空にヘリコプターが2‐3機舞っていました。墜落地点がまだわかっていなかったのです。山崎豊子の「沈まぬ太陽」という小説があります。そこに、この亡くなった小学生の男の子を題材にした記述が出てきます。2007年にこのブログで書いた記事「小さなイボのある右手・・・・泣けたを再掲します。

夏休みです 飛行機の影が雲に映ってました

即、犀川

2017年8月11日の夕焼けです 複雑な形の雲は不安定な天気を反映しているのでしょうか 今年も豪雨被害が全国で起きています 特定の地域では50年ぶり、100年ぶりの豪雨ですが、日本全体としてみれば毎年のできごとになってきている感じがします

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先週末にまた積丹に行き、数か所虫に刺されました。子供の頃から虫だらけのところで育ったので蚊に刺されても割合平気です。でも慣れない土地で刺されると反応が強く出るようです。今回は”虫”にまつわる過去の記事のまとめです。最初は2007年に書いています。10年前です。

1)同じ場所で刺されたのに腫れ方が違うのはなぜだ?(子供の腫れ方が強くて、お年寄りが軽い理由)

2)刺された後の皮膚の症状で虫の種類がわかるか?

3)片方の胸から腕にかけていっきにかゆいブツブツがたくさん出た(毛虫)

4)マリリン・モンローとダニ

神威岬:ものすごい青です。Cape Kamui and Kamui rock

Shimamui Coast at Shakotan Peninsula :積丹(shakotan:アイヌ語でシャクは夏、コタンは村または郷土のことで、シャクコタン(ShakKotan)夏場所の意味(積丹町HPより

まさに夏に来る(べき)ところ、でしょうか

 

Jorokoiwaだそうです。ミーアキャットに似ているなぁと思いましたが、後で”女郎子岩”と書くことを知りました。

背中にたくさん小さいシミがある 中年 男性

背中の上の方(上背部:じょうはいぶ)に5㎜ぐらいの茶色のシミがたくさんあるお父さん。奥さんが心配して、「皮膚科に行って来なさい」と言われて受診されます。背中にまわりがギザギザした金平糖のような形の薄茶のシミがたくさんあります。光線性花弁状色素斑(こうせんせいかべんじょうしきそはん)といいます。

神威岬に行きました。

帰りに食べたうに丼は飲み物のように喉を通過していきました。後に匂いも香りも残さずに。積丹半島はいい。

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急に出た(皮膚以外に症状のない)ジンマシンにステロイド(ホルモン剤)はいらない

ある日突然、全身にものすごくかゆい赤いものが出た。蚊に刺されたようにプクッと盛り上がっている、あるいは花びらの縁取りのように輪になっている、あるいは世界地図のように異様な形をしている。1-2時間した自然に消え始めた、が、また出た。毎日出たり欲混んだりしている。

じんましん(蕁麻疹、ジンマシンです。1日のうちに出たり引っ込んだりする皮膚病は蕁麻疹しかありません。じんましんはヒスタミンという物質が大量に出て起きる病気ですから、ヒスタミンが作用するところをブロックしてやるのが治療の基本です。抗ヒスタミン剤が必須です。しかし、なぜかステロイド(副腎皮質ホルモン剤)が投与されしまうことがあります。急性のジンマシンにステロイドは意味をなさないという論文が出ました。

http://www.jwatch.org/na44254/2017/06/09/isolated-urticaria-skip-steroids

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輪になる皮膚病

慢性じんましんの治療

ジンマシンに必要な検査は?

皮膚に字が書ける

円山に登ったあと、ふと、軽い気持ちで藻岩山にも行ってみようと思ったのです。が、けっこうちゃんとした登山になりました。原始林を抜け、山頂で3D映像を鑑賞してきました。藻岩山の成り立ちを知りました。

途中の路に大きなカタツムリがいました。

美しい夕焼けになりました。風がここちよい夕暮れです。

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皮膚がん患者さんの皮膚科受診理由

皮膚がん(ひふがん)は稀な癌でした。私が医者になったころは。でもこの数年、患者さんはすごい勢いで増えています。どのくらい増えているかというと、私が医師免許をいただいた30年前は年間5000人ぐらいでしたが、最近は年間25000人で5倍くらいになりました。昔は稀少(まれな)癌でしたが、最近は臓器別では10番目ぐらいに上がってきています。原因は高齢化です(長生きが悪いとは言ってませんので。為念)。一生懸命働いて長生きすれば光にもたくさん当たります。紫外線は皺、シミ、皮膚がん、白内障、の原因ですが、少なくても80歳以上の方にできた皮膚がんは一生懸命働いてきた証でもあります。でも、皮膚がんは(メラノーマなどの一部のがんを除くと)すべての臓器のがんの中で一番たちのよい(命を奪うことの少ない)がんです。切って取るだけで治ってしまう場合が多いのです。

・・・ただし、早く来てくれれば、です。

皮膚がん患者さんが病院を受診したきっかけについて今年の皮膚科の一番大きい会議で報告がありました。知人のすすめ?新聞?テレビ?ネット?

30云年ぶりに来てみました。標高225mですが、いい山道です。いい感じに踏み固められていて、北アルプスの登り始めに似ています。

久しぶりの日曜日@sapporo. 夕方から棋譜の中継を見てました。やはりリアルタイムにみるのは楽しいですね(あたりまえですが1手に時間がかかるので、何か他の作業をしながらでないと持ちませんが)。藤井君、良く頑張りました。この負けはいい節目になるかもしれませんね。これからが楽しみです。

 

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がんのお薬が世の中に出てくるまで

’がん’を治すために、たくさんのお薬が開発されています。試験管の中でのスクリーニングで有望なら、動物実験を経て、極々わずかなお薬のみがヒトに投与されて有効性を確認します。ヒトへの投与(治験)し、さらに、ごくこぐごく、奇跡的な確率で新薬は世の中に出てくるわけです。以前薬品メーカーの開発にいる方から、大学院を出て薬品メーカーの研究部門に入り、定年まで新薬開発に従事しても、定年までに自分がかかわった化合物が世の中に薬として出ることは極めて稀で、(その方の感覚としては)50人中49人は承認薬に関わることなく定年を迎える・・・といったことを聞いてショックを受けたことがあります。

私のような臨床医はヒトへの投与が可能となった時点(治験)から関わることになります。今回は新しいお薬の有効性(どれだけ患者さんのためになるか?)を評価するポイントについて説明してみます。

今年のシカゴは滞在中ずっと良い天気で、風もおだやかでした。 こんなことは初めてです。これまでは天気がめまぐるしく変わり、最高気温が15度ぐらいまで下がった日もありました。晴れた日の夜のビル群の美しさは格別です。

日本を午前に出ると、時間をさかのぼって夜に入り、朝日を迎えてシカゴに着きます。この朝日を見るとなんとなく得をしたような(帰国時に損をするのですが)、あるいは近距離のタイムマシンに乗ったような不思議な感じがいつもするのです。

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