運動したり、お風呂やシャワーを浴びたりすると皮膚がチクチクしてくる。米粒大の赤いブツブツも出る(すぐ消える)。汗も出ていないみたいで体がだるくなる。
こんな症状で皮膚科を受診する方が結構います。コリン性じんましん(汗がでるときについでにじんましんも出る、アレルギー性ではないじんましん)+後天性乏(無)汗症(こうてんせいぼう(む)かんしょう:生まれつきではなく、突然、汗がでにくくなる病気)の可能性があります。
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治療は副腎皮質ホルモン剤(いわゆるステロイド)を3日間点滴する(パルス療法などと呼んでます)と戻る方がいます。私の経験では100%戻る方は少ないですが、症状はよくなります。ただ、数ヶ月たつと(個人差があります)、まただんだん出にくくなる方が結構います。ステロイドの注射を繰り返すこともあります。
汗を出させるように負荷をかける方法が結構効果がある印象があります。チクチクしたり、だるくなるのはつらいですが、1日ごとにシャワーを浴びる時間を少しずつ増やしていくのです。ただ、体があたたまったときに、まぶたやくちびるや顔が腫れたり、息苦しくなる場合は(呼吸困難になったりする可能性があって)危険ですので必ず先生の指導のもとに行ってください。
日記をつけていただくと、だんだんシャワーやお風呂に浸かれる時間が延びていくようになります(個人差があります)。汗を出す機能(発汗機能)を促すのです。汗が出始めても、負荷をやめてしまうと元にもどってしまうかもしれません。適度に汗をかくような刺激(軽い運動、散歩、お風呂、シャワーなど)を続ける必要があると思っています。
とても真面目にエクセルファイルにシャワー時間と症状の程度を書き込んだものをもってきてくれた患者さんもいます。褒めたら、実はお父さんがファイルを作ってくれたんだそうです。いいなぁ。優しいお父さんで・・・と思いました。
コロナ(COVID-19)下での在宅で体を動かす機会が減っています。この1年で患者さんが増えているのかわかりませんが、今の状況を理由にあげる患者さんもいます。今はたしかに汗をかきにくい状況です。汗をかく(発汗)力も、やはり日頃?の負荷がある程度必要なのでしょうか?
論文にしました。(試した患者さんが少ないので本当によい方法かまだ不明です。皮膚科の先生のなかには?に思われる方もいると思います。ぜひお近くの皮膚科の先生に相談してください。なお、顔やまぶたや唇が腫れる方への効果は(試した人数も少ないのですが)あまりありませんでした。)
Dermatologic therapy e13647 2020年5月22日
Abstract
Cholinergic urticaria (CholU) decreases affected individuals’ quality of life because they must avoid stimuli including exercise and hot bathing. Although case reports have indicated that regular sweating activities are effective for CholU with hypohidrosis, little evidence is available. This retrospective medical record review examined CholU patients who received any form of treatment at our hospital. Twenty‐seven cases (78% men; median age 22 years, range 12‐70 years) were analyzed. Fourteen (52%) patients had acquired idiopathic generalized anhidrosis (AIGA). Among the 12 patients receiving sweating therapy (4 with, 8 without AIGA), improvement of symptoms was confirmed in 11 (92%; sweating therapy alone: n = 5, with H1 blocker: n = 5, with steroid pulse: n = 1) including 8 (67%) showing complete response (CR). In this sweating‐therapy group, CR was achieved by six of the eight (75%) patients without AIGA and two of the four (50%) patients with AIGA. Among the 15 patients without sweating therapy, symptom improvement was observed in 9 (60%; steroid pulse: n = 7, H1 blocker: n = 2) including 1 (7%) achieving CR. Sweating therapy was safely undertaken except in one case in which the patient showed angioedema and anaphylaxis. Regular sweating activities could be a potential therapeutic option for CholU patients.
*(本記事とは関係ありません) 今日悲しい知らせが届きました。皮膚科学への世界的かつ歴史的な貢献と、たくさんの後進を育て上げた先生の偉大な功績に敬服し、ご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました。