自分を釣っちゃったお話

昔、私の故郷には小学校に寒中休みというのがありました。2月の1週目ぐらいに数日間休みになります。私の子供の頃は農繁休暇というのも秋にありました。家業(農家)の収穫を子供が手伝えるようにしたしくみです(たぶん)。確か明治に義務教育制度を作ったとき、労働力である子供を学校には行かせなかったので最初はうまくいかなかった、というような失敗例があったと教わった記憶がある。そんなことに配慮した制度だろうか?(少し思い出した。たしか家業を手伝うという教育的な目的があったかもしれません。先生たちのもくろみはいつも美しいです。でも時代的に家業というのが廃れ始め、親父は毎朝どこか?に出かけていくという状況が増えて、消滅しっちゃったんでしょうか)。夏休みがあるなら寒中休みがあってもいいのだが、個人的には自分の夏休み前に田舎にやってきて、自分の夏休みが終わっても東京に帰らずに夏を楽しんでいる東京のいとこがうらやましかった。中途半端な寒中休みをなくして夏休みにくっつけてほしいと思っていた。

さすがに寒中休みは20年前になくなったが、なくなる前は普段激混みのテーマパークなどに故郷のナンバーをつけた車がひしめいた。我が故郷に特化?した休みなので平日は家族で休みがとれればオフシーズンでもあり、ホテルもツアー料金も格安である。

寒中休みの制度がなくなる直前の20年前に1年で最も安い価格でグアムに行った(安いのはいいが、人があまりいないリゾートは寒々しくて、なんとなくどうかなと思った)。せっかくだから釣もと思って自作の毛針も持って行った。そこで息子が自分を釣ってしまったのである。普通はバーブレス(返しのない針)しか使わないのだが、なぜか運悪く自分を釣った針には返し(かかった魚から針が抜けないように先端がV字なっている針)が残っていた。針をちょっとだけさらにグッと押し込んで先端を皮膚から出し、先の返し部分を爪切りで切れば簡単に抜ける・・・と息子に提案したが同意をえられなかった(そうだよな)。

ホテルの手配で病院に向かった。世話をしてくれたグアム在住の女性は「この前は1日に2回もこんなにぶっといカジキ用の針を刺して病院に行った日本の社長さんがいたわ」などと慰め?てくれた。

病院では医師が息子に向かって「局所麻酔が必要なんだ。ちょっと痛むけど、どうする?」「大丈夫です。早くやってください」、と、説明同意がすみやかに行われた。局所麻酔は問題なく終了した。しかし、医師は、なぜかそこで額にしわを寄せて考え込むようなそぶりをした。「この毛針は君が作ったのか?」「そうです」「うーん、問題がある。針の先端を切らなければいけないので、この毛針は使えなくなってしまう。それでもいいか?」息子(と私)は一瞬「何を言ってるんだ、この状況で・・・」と思ったが直ちに大きく頷いた。あっという間に針は除去された。医師はニコッと笑って褒めてくれた。私もなんか父らしいことを言おうと思い「今回のことで釣りをきらいにならないでほしい」と息子に言いました(情けないです)。(多分に脚色されています。ごめん、息子)(釣りは続けてくれています。関連記事(パイロットが飲める抗ヒスタミン剤、鱒で酒蒸し

でも、感動したんですね。子供に対しても大人と同じように誠意とユーモアをもって接する先生の姿に。息子はかわいそうな思いをしましたが、私はとても勉強になりました。

そんな昔のことを思い出した動画です。

輪になる皮膚炎

2016年に書いた文章の再掲です。輪(ドーナツのように)のようになる皮膚炎。

以下、文章も写真も2016年当時のものです。

輪(環状)になる皮膚病

まん丸の輪の形の赤い皮疹を見ることがあります。個人的な印象では、一番多いのは、白癬(首や胸、背中や臀部、股にできた水虫)です。首から背、お尻、太ももの付け根にできることが多いと思います。患者さんはほぼすべて高齢者です。今やインキン、タムシは青年の病気ではありません。お年寄りの病気です。形は半円から完全な輪の形で、輪の部分はブツブツした皮疹が集まっていたり、カサカサしていたり、カサブタが付いていたり、小さい膿の粒が混じっていたりします。かゆいです。足の爪が白黄に濁って厚くなっている方が多く、多分この爪水虫からうつったと思われる方が結構います。

水虫以外で輪になる皮疹になる疾患は珍しいです。ですが、大事な病気が隠れていることがあります。まとめておきます。

関連記事:輪になる、花びらの輪郭のような皮膚病、ジンマシン

久々に川です 上陸した中州に盛りのちょっと過ぎた芥子とミツバチ

 

輪のような皮疹の鑑別(かんべつ:何の病気か区別すること)は輪の部分の皮膚の状態が役に立つかもしれません。どれも珍しい病気です。

1.表面がすべすべ(正常)で触ってもしこりを触れない・・・つまりまっ平らで、輪の模様のみ

・・・ライム病:マダニ喰われてうつる病気です。抗生物質が必要です。皮膚科に行ってください。山登りやハイキング時に喰いつかれます)(年に1例ほど見ます)

・・・リウマチ熱:子供の溶連菌感染(30年の皮膚科人生で1人見ただけです)

・・・遠心性環状紅斑(えんしんせいかんじょうこうはん):字のとおり、輪がだんだん外に拡大していく皮膚炎です。ときどき、内臓のがんや血液の病気が見つかることがあります(私の経験では、基礎疾患(きそしっかん:原因となる全身の病気)が見つかることはとても稀です。薬を塗ってもなかなか治りません。

・・・上記3つには「かゆみ」はありません。輪になって、あるいは花びらの縁取りのような赤い皮疹でものすごくかゆくて、出たり引っ込んだりするのは蕁麻疹(ジンマシン)です。

関連記事:急性の蕁麻疹にステロイドはいらない

2.輪の部分が堤防のように少し盛り上がっていて、中心部も含めて全体的にしこりを触れる+表面正常(つるつる)

・・・サルコイドーシス:血液検査と胸のレントゲンと心電図を撮ります。組織球というやつが用もないのに増えてかたまりを作る病気です。(年に1-5人ほど見る)

・・・環状肉芽腫(かんじょうにくげしゅ):これも組織球というやつが用もないのに増える病気です。ほとんど皮膚のみで、サルコイドーシスのように内臓にはできません。たくさんできている方はSLEという膠原病や糖尿病が関係していることがあります。(1年に2‐3人は見る)

・・・円盤状エリテマトーデス:膠原病の一種です。頭にできると脱毛になります。

3.輪の部分が少し盛り上がっていて、そこの皮膚表面はガサガサしている(カサカサ、じくじく、ブツブツ)・・・白癬(水虫)パターン

・・・湿疹:丸くなることがあります。

・・・乾癬:丸あるいは花びらのようになることがあります。

・・・シェーグレン症候群:唾液や涙などの水を分泌する腺が攻撃される膠原病です。

・・・新生児エリテマトーデス:生後1-3ヶ月頃の赤ちゃんに1-3㎝の輪のような赤い皮膚炎ができます。お母さんがSLEという病気にかかっていて、お母さんの抗体(自分を攻撃するミサイル)が胎盤を通って赤ちゃんに移行して起きる病気です。赤ちゃんの皮膚症状からお母さんの病気が発見されることが結構多いです。

ここからは2021年1月31日に書いてます。散歩をかねて円山動物園によく行きます。動物園が好きなんです。中学から高校にかけて写真を撮っていましたが、須坂動物園にはほぼ毎週かよってました。お気に入りはニホンザルで、前に陣取ってシャッターチャンスを探ってました。寒い日はみんな体を寄せ合って温めあっているのがかわいかった。(今は許されませんが)金網の隙間にレンズをはめ込んで撮影してました。ケーキのくずを投げられてカメラがドロドロになったこともあります。けれどレンズにバターの膜ができると微妙にぼやけておさるさんも美人に映るのです。デジタル画像処理など考えつかなかった時代ですので、その場の工夫が必要でした。多くは現像後にがっかりする結果になりましたけど。

円山動物園のシロクマ 飛び込みそうで飛び込まない これにじらされてなかなか立ち去れない 「30分もここにいるのに 飛び込まないの・・・」と観客の方。

真冬はここに張った氷を破って飛び込みます。ぜひ見たいです。

しもやけ(凍瘡 とうそう)になった

2019年1月の記事(写真を含め)の再掲です。(シモヤケには注意

昨年末の冬の入りは、なんとなく暖冬でしたが、ちゃんと帳尻を合わせるように年明けから寒くなりました。リスクとは悪いことが起きる確率ではなく、良いことと悪いことの幅を示しているので、悪いことがあるときっと良いこともあります(いつ良いことが起きるかわかりませんが)。逆もありです。

今回は、今までなんともなかったのに、一昨年から、去年から、今年から、寒くなると手の指に痛痒い丸い赤いできものができるようになった。シモヤケでしょうか?という患者さんが時々います。60歳以上の女性・・・・が多い。

シモヤケは普通の病気ではありません(個人的な意見です)。シェーグレン症候群などの膠原病が隠れている可能性があります。シェーグレン症候群は”抗核抗体”が陰性でも否定できません。抗SS-A抗体の有無を調べないとわかりません。

関連記事

しもやけになった!痛くてかゆい冬の皮膚炎 ・・・以前は春になってもシモヤケがあれば膠原病を疑え!と教わりましたが、冬にできても変だと思います。この記事訂正します。

シモヤケと縦横縦横の亀甲文字

近況写真(本文とは関係ありません)

今月の札幌は晴れる日が多く(だから寒いのですが)、気持ちがいいです。近くのスキー場です。

早朝の駅も好きですが、空港もいい感じです。羽田には雪がありません。寒いところに住んでいると幸せの閾値が下がります(幸せ度が高まるということです)。

 

シモヤケは凍瘡(とうそう)といいます。冬山登山で手足が寒さで皮膚が痛んでしまうのは”凍傷:とうしょう”です。まぎらわしいですが”凍瘡しもやけ”と”凍傷”は別物です。

シモヤケは私が子供のころはありふれた病気でした(寒い地方で育ちましたので暖かいところではあてはまらないかもしれませんが)。でも、60歳から70歳を過ぎてから急にシモヤケが出るようになった、と受診される方がいます。本当のしもやけであったり、実はもともと血行が悪く、寒くなったために症状が出る(顕在化:けんざいか)ようになった方もいます。

私はまず、患者さんの爪を見ます。爪の甘皮(爪上皮)が1-2㎜以上に伸びで、そこに点々と黒や赤の点(出血)があれば何らかの血行障害があります。強皮症やシェーグレン症候群が多いと思います。血液検査で膠原病のスクリーニングをします。必ず抗核抗体とSS-A抗体を調べます。

自分の体をバイキンから守るために働いている免疫がまちがって自分を攻撃してしまうことがあります。自分に向かうミサイルを自己抗体と呼びます。ミサイルは攻撃目標ごとに名前がついています。細胞は細胞質の中心に核があります。核を標的とするミサイルを”抗核抗体:核に抗する抗体”と呼びます。抗核抗体の中には核の成分に対する多くの種類の抗体が存在します。多くの抗体は核に関連する成分を攻撃目標とするため、”まずは”抗核抗体だけ調べて陰性なら、さらに詳しい検査は不要になります。

しかし、細胞質を標的とするミサイルの存在は”抗核抗体”ではスクリーニングできません。シェーグレン症候群(涙、唾液などの分泌腺が攻撃されます)で攻撃されるミサイルの標的(SS-A,SS-B)は細胞質にあるからです。他に皮膚筋炎や多発性筋炎の抗体の攻撃目標も細胞質にあります。膠原病のスクリーニングに抗核抗体だけ調べても不十分です。

膠原病を疑っても、自己抗体が陰性の場合があります。「自己抗体が陰性だからあなたは膠原病じゃない」と言われ、でも手が冷たいと言って受診する患者さんがいます。自己抗体が陽性でも症状が軽ければ治療は不要ですが、自己抗体が陰性でも症状が強ければ治療します。抗原病は診断が難しいので、厚労省から出ている”診断基準”に沿って診断する研修医がいます。「昨日まで3項目しか満たしませんでしたが、今日4項目目の検査が陽性になりましたので、今日SLEになりました」・・・。

診断基準は確かにたくさんの患者さんの因子を統計学的に解析し、その疾患を他の疾患から区別できる項目を選び出したものです。しかし、それは治療や予後(病気の重症度の将来的な悪化予測)因子の検索(研究)や公的保証を決める”基準”として用いるべきで、治療などの対応は症状ごとに考えたほうがよいのです(個人的見解です。為念)。

指切った 血が止まらない 止血法

2010年4月に書いた文章の再掲です。(以前の記事

ちょっと前に出張先の病院の看護師さんから聞いた話です。
知り合いの方が指を切ったときにいろいろやったけど、血が止まるまで30分以上かかったんだそうです。
良く話を聞くと、指の切り傷にガーゼを当てて上から包帯できつくしばったんだそうです。

これ、血止まりません。逆に血がどんどん出ます。

おでこや唇や指などは、ぶつけたり、カッターや包丁で切ったりして傷がよくできる場所です。

血が出ます。頭や唇はしばれない(首を絞めて血を止めようとする人はいませんよね)ので、みんな布などで出血している部分を押さえて病院に来ます。ちょっとした傷では、診察の時には出血が止まっていることが多いです。

これが指の切り傷で出血している場合は、傷の上から、あるいは指の根元を包帯で縛る方がいます。出血が止まらないときは傷より心臓に近い場所をきつく縛れ、血行が止まるので30分ごとにゆるめろ。なんて聞いた方も多いのではないでしょうか。これは指や腕が切断されたり、太い動脈が切れたような場合に行う処置です(動脈が切れますと、ホースの途中に小さい穴が開いたときのように、ピーと勢い良く血が出ます)。

ほとんどの出血は、血が出ている場所をピンポイントで押さえているだけで止まります。

たとえば、左手の人差し指の爪の親指側を包丁で切ってしまったとします。こういうときは、ティッシュなどをまるめて傷に当て、左手の親指で強めに抑えればいいのです。そのままでテレビをみるなどをして15分ほど時間をつぶしましょう。「止まったかなー?」なんて、1分毎に何度も傷をみているとなかなか止まりません。1回押さえたら、傷を見たいのを我慢する、というのが大切です。

話をもどします。
出血した直後に傷の上から包帯でしばってもなぜ血は止まらないのか?
血液は心臓から動脈で体のスミズミまで運ばれます。大事な血管ですから皮膚の深いところを走っています。酸素や栄養を渡したあとの血液は静脈で心臓に帰ります。動脈の流れをしばって止めるためには血圧の倍ぐらいの圧力でしばる必要があります。これかなり痛いです。包帯でいくら強くしばっても、浅いところを走る静脈の流れは止められても、深いところを走る動脈の流れを止めることはできません。どうなるか?
動脈は流れている・・・血液は供給される・・・包帯によって浅いところを走る静脈は流れが止まっている・・・・血が心臓にもどらない・・・傷の手前で血がたまる(ダムになる)・・・出血している部分は包帯で圧迫されているだけで圧が弱い・・・血がどんどん出てくる。
出血している部分だけをピンポイントで押さえる方法だと、
動脈は流れている・・・血液は供給される・・・傷以外のところを走る静脈は正常なので、いつもどおりに血がもどっていく・・・傷の手前で血がたまらない・・・出血している部分だけ強く圧迫されているので出血しない・・・そのうち血が止まる。

ぶつけた、切った。
血が出た。
ティッシュを丸めて当てる。
上からピンポイントで押さえる。
血が止まったかなぁ。。。なんてすぐ見ない。しょっちゅう見ない。
これが日常の小さい傷からの出血を止める方法です。
深くざっくり切ったようなときは、腱や神経が切れていることもあるので病院に行ってくださいね。

学生の頃、ハンバーガー屋さんでバイトしていたことがあります。包丁の使い方はここで覚えました。今でもお店あるんですよ。大通駅から東に延びる地下街の一番端にあるお店です。

ここからは2021年1月29日

記事とは関係ありません。今年は雪が少ねえなあ・・て言ってたら、やっぱりこうなった。

2020年大晦日(4)

1年を振りかえっています。紅白はYOASOBI。いろいろな分野でメジャーになる手段が多様化してますな。東京事変だ。いい。着物姿もかっこいい。

10月 ダーモスコピーという偏光レンズで拡大して観察する検査法があって、本来はホクロとメラノーマなどの皮膚がんをみわけるために使うのですが、頭皮の観察、とくに脱毛しているときの診断に役立つことを書きました。トリコスコピーといいます。トリコは毛という意味です。紅白はゆず。オケすごい。そして和洋だ。WEBの会議と講演と学会が日常?的になりました。この日常が(個人的には)浮遊感に包まれ、約束をすっぽかさないかいつも不安でした(周りの方にサポートいただいてギリギリで参加できたこともありました)。紅白はあいみょん、そしてYOSHIKI。ENDLESS RAIN ブライアン・メイだ。豪華だなぁ。

11月 記事を書けませんでした。昨年立ち上げた若手皮膚科医向けの皮膚腫瘍の治療教育のための合宿はWEBでなんとか開催できました。ZOOMで皮膚がんの症例を出して、切除と皮弁作成(ひべんさくせい:切除してなくなってしまった欠損部を周りの皮膚を移動させて覆う方法です。傷がなるべくめだたないような作図が必要です)の作図をみんなでペンで書きこんで討論しました。楽しく勉強できました(今回も講師陣が結構たのしそうだったのがうれしかったです)。講師陣も上のほうは還暦を過ぎており、若い方に伝えておきたいことがたくさんあるのです(じいさんの自慢話にならないよう注意します)。

12月 今年はいくつか進行中の企画が滞りました。そんな中で職場の仲間と協力して書き上げた書籍が12月30日に発売されました(美容皮膚医学BEAUTY 第25号(Vol.3 No.12, 2020)特集:皮膚がんの診断と治療)。なんとなく地に足がつかない1年でしたが、2020年という年の1つの思い出になりました。ついてきてくれた仲間に感謝します。紅白はSuperfly、Mr. Children。さて、来年はなにをしようか。

年末に、頼んでおいた来年開催する学術会議(日本皮膚科学会東部支部、札幌)の記念ピンバッチのプロトタイプが届きました。こんなことばかりしているのです。

 

 

2020年大晦日(3)

1年を振り返っています。

7月 紅白はJUJU。そしてエールから、福島行進曲、長崎の鐘。7月は記事が書けませんでした。一体何をしていたのかスケジュールを確認しました。遊んでました。30年ぶりに知床を歩きました。生まれて初めて道路上をゆったり歩くヒグマを見ました。でかかったです。知床の散策路には人気がなかったので、スマホから音楽を流して歩きました。ウトロのウニはとてもとてもおいしかった(ウトロ漁協婦人部食堂:おすすめです)。尻別川上流でキャンプして釣りをしたり、積丹でキャンプしてカヤックしたり。 紅白はGreeeN。顔が出てる。キセキ、やっぱりいい曲だな。そして嵐。

自然のハッカの葉いっぱいの半露天風呂にいれていただいた

8月 同じ種類の蚊に刺されても反応が違う理由について書きました。紅白はLISAの炎。お盆は松本で自然を楽しみました。いつも賑やかな川が、やはり静かだった。お山の診療所(2018,2015、2013,2011)も今年は閉鎖で、いけませんでした。

9月 紅白は髭男。記事は外用剤を混ぜることの問題を2回にわたって書きました。混ぜることは利便性が増す(種類の違う薬を2度塗りしなくてよい)場合もありますが、(私が個人的には)受け入れにくい外用剤の混合処方をよくみます。たとえば抗真菌剤(水虫のくすり)とステロイド、もっとすごいのは水虫の薬+抗菌薬(ゲンタシンやアクアチムなど)+ステロイド、これにさらに非ステロイド系の消炎剤、なんてのもあります。とくに抗菌外用剤の使い方が緩すぎるのではないかと思います。耐性菌(薬に効かなくなる菌)が増える危険がないかとても心配です。ご批判があれば是非お寄せください。

2020年大晦日 (2)

1年を振り返ってます。

4月 紅白はディズニーメドレー、ディズニーランドからだ。記事はCOVID19による皮膚症状について書きました。皮膚に編目模様やしもやけ様の皮膚症状が報告されました。これらの症状は皮膚科的には血管がつまる、あるいは血管の壁が傷む免疫現象がウイルス感染によっておきることが予測され、身構えました。その後解析がすすみ、普通のウイルス感染(はしかなど)で多いブツブツ型が多いことがわかってきましたが、じんましんなどもあり、(とくに特別は皮膚症状はなく)熱+全身の皮疹の患者のすべてがCOVID感染の可能性があると思うようになりました。また、手荒れについて書きました。利き腕と反対の手の方があれている場合は注意が必要です。

5月 紅白は福山さんが出て、すぐに合間のニュースになりました。記事は、古本屋で見つけた「日本の色」(大岡信 朝日選書(1976)版講談社(1980)版)という本の解説や「色」について思うところを書きました。近くの山によく行きました。

6月 リアルな研究会・学会・講演会がほとんどなくなり、代わりにWEB講演が増えてきました。記事は、マダニに喰いつかれたときの対応や注意する感染症についてまとめました。今年はマダニに喰いつかれて受診した患者さんがたくさんいました。1週後にまた来た方もいました。猫が家に持ち込んでくるのだそうです。紅白は瑛人の香水。そしてPerfumeだ。結成20年だそうです。すごいなぁ。そしてBABYMETAL。そして郷ひろみ。

 

 

2020年大晦日(1)

大晦日になりました。紅白歌合戦も始まったので今年を振り返ります。

1月 お供え餅の写真で新春の挨拶だけの記事で終わってしまった。高麗大学から交換留学生を迎えたり、治療方針が大きく変わった乳児血管腫(イチゴ状血管腫)のミニ研究会を開いた。映画はいつものキノでリンドグレーン。 長靴下のピッピなどを書いた童話作家の伝記。 美しい映画だった。 ★★★★。 息子ラッセを演じた子役の演技が素晴らしかった(ドキュメンタリーのようであり、セリフもしぐさも完ぺきだった)。子供が怒って物を投げるときは、(大人と同じように)きちん?とした心の怒りや強い葛藤があるんだ、ということに今頃気づいた(映画は登場人物と一体になれるからわかるんだね)。

霜から生き延びた庭のハーブを全部ぶち込んで無水鍋

2月 手や指が荒れて、細かいひび割れができたときはポリウレタンフィルム(防水フィルムとして売っている)の絆創膏やシールをおすすめする記事を書いた。安く買える百均での購入を勧めていたけれど、一時材質の異なる製品が目立ち(患者さんには袋の裏の材質名を確認して買っていただくようにお話ししていた)、ポリウレタンフィルム製がなくなってしまった。でも夏過ぎからまた店頭でみかけるようになり安心した。高知に講演で呼んでいただいた。これが今年最後の空路での出張になるとは思ってもみなかった。紅白はさだまさし。

3月 感染症の世界史、という本を紹介し、COVID感染対策についてちょっと書きました。振り返ればまだことの重大さを自分自身はあまり認識できていなかったと思います。レゲエの神様 ボブマーレーとメラノーマについての昔の記事のリバイバルを載せました。紅白は鈴木雅之。大滝詠一は今年よく聞いた。夢でもし逢えたら ・・・逢えるまで眠り続けたい・・・

監修した雑誌が発刊されます

研究室の仲間たちと総出で協力して書き上げました。皮膚がんの疫学や症状、治療法、(メラノーマで開発が始まった)新しいがん免疫療法の最新の情報やサンスクリーン剤(日焼け防止)などについてまとめました。今年の記念になる仕事になりました。明後日(2020/12/30) 発売です。

美容皮膚医学BEAUTY 第25号 特集:皮膚がんの診断と治療 

【特集にあたって】

この10年間で本邦の皮膚がん登録者数は年間15000人から30000人に倍増しています。主な要因として高齢化が疑われています。したがって、この増加傾向は今後20年間続き、患者数はさらに1.5倍ほどに増加すると予測されています。一方、皮膚がん死亡者数は年間2000人程度であり、すべての臓器のがんのなかでは最も5年生存率が高く、皮膚がんの90%以上は手術のみで完治します。したがって早期発見が重要です。

皮膚がんの最も重要な原因は長期の紫外線曝露であり、したがって皮膚がんの多くは顔面などの露出部に発生します。一般にシミと呼ばれる疾患の多くは日光黒子や脂漏性角化症といった良性腫瘍ですが、悪性黒色腫や基底細胞癌、ときどき光線角化症(SCC in situ)が紛れ込んできます。また、悪性黒子の30%は日光黒子(シミ)と同居して認められます。また、黒や褐色の病変を気にする患者さんは多いですが、頭頸部に限れば、じつは赤い腫瘍のほうが悪性である確率は高いと思います。顔面の赤色を呈するがんの代表は光線角化症(表皮内がん)と有棘細胞癌ですが、悪性黒色腫と基底細胞癌も色を欠くと赤色を呈します。レーザーや凍結あるいは焼灼などでは組織診断ができないため、施術前に正確な診断と患者さんへの説明、画像の記録が必須です。また、患者さん自身によりスマートフォンなどで皮膚病変を記録しておくような啓発も大切です。時間の経過で変化した所見が観察できて診断上有用です。さらに、患者さんがシミの治療を希望して受診された際は、他の部位、とくに頭頸部全体の診察を合わせて行うと皮膚がんの早期発見に役立ちます。

本号では、顔面に好発する皮膚がんの特徴、診断法としてのダーモスコピー、予防としてサンスクリーン剤を取り上げました。また、2014年、免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブの世界初の承認後からがん免疫療法の新しい時代が始まりました。皮膚がんはがん免疫療法が効きやすい因子の1つである腫瘍遺伝子変異量が多く、全臓器がんのなかで上位を占めています。そのため皮膚がんはがん免疫療法を開発するうえで重要な位置を占めています。そこで、現在急速に進化しているがん免疫療法の新知見についても紹介しました。

この特集が読者の皆様の診療に役立つことを願っております。

宇原 久(札幌医科大学 医学部 皮膚科学講座 教授)

【目次】

〔特集〕
1.皮膚がんは増えているのか
2.顔のシミや色素細胞母斑にはどんな疾患が隠れているのか―とくに日光黒子と悪性黒子、色素細胞母斑と基底細胞癌との鑑別点について―
3.日光角化症の診断と治療
4.有棘細胞癌の診断と治療
5.基底細胞癌の診断と治療
6.悪性黒色腫(掌蹠・爪・粘膜以外)の診断と治療
7.悪性黒色腫(掌蹠・爪・粘膜)の診断と治療
8.皮膚がんと腫瘍免疫
9.皮膚悪性腫瘍の薬物療法の進歩
10.紫外線から皮膚を守る―サンスクリーン剤―
11.ダーモスコピーの基礎

上へ